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青黒い蟠りⅡ
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数分間くらいかな?
睨む目は段々と悲しい目に変わっていった。
硬直した俺の身体も少しずと緩んでいく。
ちゃんと謝りたいと思う気持ちとは裏腹に言い訳ばかりを考える。
何を言っても、何をしても、上手くいかない気がする。
巡が傷付くだけな気がする。
それでも覚悟を決めたからには、ちゃんと謝りたい。
言い訳を消し去るように、声を出すことに集中する。
「…っあ、、のな…」
掠れながらも、出た声。
ゆっくりでも伝えようと決心する。
「…あっ、かみね、何もしねぇ、し…なん、でかイライラして……」
「嫌がらせしたかった?」
「ちがっ、う!……ちげくて…」
また言い訳を探そうとする。
巡は自分の言葉に更に悲しそうな顔をする。
違うよって、クラスの奴等もだよって言ってやりたいのに、言い訳を探す脳に指令は中々届かない。
「…違わないから話さない。分かったから手を離せ」
何かを悟ったように言葉を放った。
また始まる俺の手を払う行為。
今度は言葉でも離せよと言う。
ここで手を話したら認めたも同然なんだろ?
もう考えないから、もう言い訳もしないから…。
「逃げんなよ…」
「せっょ……⁉」
「愚痴言って悪かった、…でもさ、俺はお前と一緒に作業して一緒に楽しんで一緒に苦労して同じ時を分かち合いたかっただけなんだ!それが友達ってもんだろ!」
半分やけくそに言い放つ。
みっともない真似したと思ってももう遅い。それでも少しは考えてくれるなら、それでいい。
嫌われてしまっても、ウザがられてしまっても、言える事言えたなら満足します。
「なん、だよそれ……嘘ばっか吐いてんじゃねよ!!そんな事っ…」
話せた事で安心し切った俺は手の力を弱めていた。
何か言いかけた巡はそれに気付いたのか、振り払って逃げてしまった。
これ以上追い掛けるのは止めた。
だって、友達って言葉を言った時の巡の表情が一瞬嬉しそうに見えたから。
それを喜んではいけないと、あの言葉を放った。
俺にはそう見えた。
今日は帰ろう。
明日学校で話しかけよう。
嫌われてないんだとしたら、友達と認めていてくれるなら、話しかける他ないだろ。
巡が走って行った真逆の道を俺は歩いた。
“そんな事っ…”の続きを意味無く考えながら…。
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