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青黒い蟠りⅦ
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見つけた。
赤峰の表札
え、違う?
いや、あってるよ?
押してみなきゃわかんないだろ
違ったらどうすんだよ
その時はその時だ
天使と悪魔が会話をするように、自問自答を繰り返して、震える指でインターホンを押す。
少しの間が空いて、「どちら様ですか?」と年をとった女性の声がインターホン越しに聞こえた。
「…めっ、ぐるくんいますか?同じクラスの服部です」
苗字とフルネームでしか読んだ事ないのに、名前で、まさかのくん呼びなんて、ハードルもくそもない。
何処と無く恥ずかしがって吃った俺とは対照的に、平然と「少々お待ちください」と残して切った。
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結構待った気がする。
実際は多分3分程だ。
玄関が開いて、ちょろっと顔を出したのは巡本人だった。
距離もあるし、殆ど見えてないけど、何処と無く疲れ切った顔をしてるように見えた。
それは俺のせいですか…?
もう自分を苦しめる事しか思考が働かない俺は、平気とその言葉を脳内で反復させる。
俺の前に立ちはだかる、門は二人の距離を余計に引き離している気がする。
「何しに来た」
ちょろっと顔を出す巡が投げる声色は冷たいく、棘を含んでいる。
顔の横でプリントの入った白い封筒をゆらゆらと揺らしてみる。
はっ?みたいな顔を向けた。
「プリント届けに来た!……はカモフラで、話したくて来た」
「話す事無いからそれ置いて帰れ」
言い放ったと思った瞬間、巡はその場にしゃがみ込んだ。
よくは見えてないけど、頭を抑えている気がする。
声を掛けようと口を開くと同時に、女性の声が「何て言い草なの!謝りなさい!」と言って玄関から顔を覗かせた。
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