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青黒い蟠りⅧ
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戻ると踵を返した巡に、届く気がしないのに手を伸ばす。
ガシャン
門に手が打つかって金具が鳴る。
玄関に向かう足が止まって、俺の方を向く。
打つかった手がジンジンと痛み、視線を赤くなった手に移して摩ってると、こちらに向かう足音が聞こえ…。
「大丈夫…?」
さっきとは全く違う優しくて心配する声が聞こえた。
顔を上げると、門前で心配そうにした顔で覗き込んでいた。
そこは開けてくれ
言える訳もなく、大丈夫でもないのに、作り笑顔を貼り付けて大丈夫と言う。
痛みは引くのに、作り笑顔は苦しくなって、俯いて今度は俺が踵を返す。
ありがとうと顔も見ずに小さな声で呟いて、歩き出す。
が
クイッと後ろに引かれて足を止める。
女の子みたいに袖掴んでるんだけど!!
申し訳程度の掴み方に、ドキッとする。
身長が低く俯くと、俺の目線からは女の子にしか見えない。
何故か早くなる鼓動に更にドキドキしながら「なに?」と聞く。
その声は何処と無く上擦っていて、恥ずかしくなる。
俺の上擦った声とは裏腹に、小さな声で「冷やすから上がれ」と言った。
容姿と似合わないその言葉遣いに何故か鼓動は静まって、平常に戻る。
冷静になった途端に言葉の意味を理解して、結局また早くなる鼓動。
飴と鞭の使い方が上手い奴
断ろうと口を開くと、眠そうな疲れた目が俺の目を見据えてて。
上がらさせて頂きます
としか言えなかった。
巡の後ろについて家に上がった。
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