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視線Ⅱ
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朝のHRが終わってから気付いた事がある。
ふとした時、退屈で少し離れた席から窓を見る時、前から来たプリントを後ろに回す時。
他にも何かある度、視線を感じた。
その視線を追うように辿ると必ず巡と目が合った。
目が合う度に勢い良く逸らされ、何事もなかったように窓の外を眺めた。
?が頭の中に浮かんでは消えを繰り返す。
何が起きた?
何で見られてんの?
何かしたっけ?
疑問は浮かんではへばり付いて、文字同士が重なって真っ黒く染めていく。
それからと言うもの、視線が気になって授業の内容もまともに入ってこず、?と疑問だけが浮かんだ。
昼休みは友達の誘いを断って、巡の元へ行った。
聞きたい事が山のようにある。
その前に巡と関わる事が先だ。
弁当を持って巡の席の前に座る。
目を大きく見開いて驚いた顔を見せた。
「一緒に食おうぜ!」と声を張り気味に掛けたら、教室にいた生徒全員の視線が一気に俺に向いた。
少しの沈黙。
ざわつきを取り戻す中に、来てたんだ、いたんだと巡に対するであろう言葉が飛び交った。
今の今まで気付いてなかったかの言い草に腹が立つ。
除け者扱い、虐め、存在拒否、空気扱い。
一番嫌いなやつだ。
誰も見てないのに、その声のする方を軽く睨む。
そんな中聞こえた拒否する小さくか細い声。
「…いい」
「…断られても遠慮せずここで食べるわ」
巡の机の上に弁当を広げていく。
心底嫌そうな顔をされた。それもそうだろう。
今ので目立っただろうし、推測だけど、嫌がらせが起きそうな予感。
でも、俺は逃げない。
それで巡が的になっても、俺が守るんだ。
「迷惑掛けるとか思ってるなら心配すんなよ?俺、揉み消すし」
お弁当の中身が勢いよく減っていく。
逃げようとしたのか、立っていた巡は座り直して弁当を広げて食べ出した。
“馬鹿みたい…”と囁かれた言葉はざわつく教室内で掻き消された--。
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