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文化祭準備Ⅲ
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話した頃よりも
追いかけた時よりも
昨日のたこ焼き作りよりも
行き帰り一緒にする事で
距離が縮んだ気がする
家庭科室にぞろぞろと人が集まって行くが、どの組も完璧で作るのをやめた。
正直見るのも嫌でと口にする生徒も中にはいた。
本当に下手な子は他の係に回されて、何人か外れていた。
前日と言う事もあって、器材を教室まで運ぶ。
俺と巡はプレートと導線を運んだ。
三階まで結構距離があったが、その間も俺が一方的に話し続けた。
反応はしてくれてたから、それだけで十分だ!
なんてな…。客観視したら惨めに思えたよ。
明日手惑わないように出来る範囲でセッティングして、意味もなく家庭科室に戻る。
他のクラスも同じらしく、終わった順に戻って来た。
家庭科室内に知り合いが増える。
ライバルでもある他の組と仲良さげに話す。
それは俺も例外ではなくて。
結構誰とでも話せる俺は、全く関わりのなかったクラスの奴と話してる。
隣には常に巡がいて。
二人の時はちょこっとだけ小さな声で話してくれる。
練習頑張ったとかいる意味あるのかとか。
他人が聞けばなんて会話だ!と言う事でも俺には嬉しかった。
暇になったのか、一人の男子生徒が来た。
話していると巡の話になって。
「えっと、赤峰?って静かだな」
「それがまたいいんだろ?」
「不思議くん的な⁈」
「違うな!わかってねぇ」
相変わらず話はしないし、黙ってるだけだけど、違う事もある。
俺といる時はヘッドホンはしない。
相手に失礼って事くらいわかってるだろうけど、自分の世界を持つ奴は失礼とか考えないと言う俺の勝手な偏見。
帰宅時間まで話して、皆が一気に解散する。
帰り道も一緒に帰る。
遠回りしようが巡と話せるなら気にしない。
質問したら簡単に答えが返って来る。
「今日嫌じゃなかったか?」
「服部…いたから平気」
…照れた。
何その答え。
巡に向けてた顔を逸らす。
今顔赤い気がする。
そっか、良かったと口にして口を抑える。
余計な事言ってしまいそうになる。
それ程に嬉しい言葉だった。
「じゃあ、な」
「おう!明日、楽しみだな!」
門前で別れて、歩き出す。
明日は文化祭当日だ。
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