アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
文化祭Ⅲ
-
午後部と交代した。
売り子をしていた凪と材料担当の数人の男女友達と、逃げようとして捕まえた巡を連れて昼食を取りに模擬店を回る。
それぞれが食べたい物を買って、昼休憩をすぎた事で空いている休憩所の椅子に座ってわいわい食べる。
巡は静かに端の方で、目立たないように食べていた。
売り子をしていた凪と女友達が大変だったと愚痴を零し始め、担当場所愚痴大会が始まった。
振られる前に避けるように巡の元に行く。
「それ、美味い?」
「っ…普通」
そう言いながらも食べるスピードは早くて、絶対美味いだろ、と突っ込みたくなる程だった。
暫くかじかじとフランクフルトの棒を噛みながら巡を見つめる。
気まずそうにうどんを啜る。
悪いってか可哀想とは思うけど、睫毛の長さとか、啜りきれずに途中で麺を噛んでしまう所とか目が離せなくなる。
そんな巡が綺麗だな、可愛いなって思う。
男にこんな事言ったら、嫌がられるんだろうけど。
「あれ、柊季?」
「んー?」
「えっと、誰だっけ?」
話の輪から外れたらしい女友達が、巡を見て首を傾げる。
俺が赤峰と言っても更に首を傾げて、考え込む。
巡は耐えられないのか逃げようとするから、制服の裾を掴んで阻止した。
女友達はあぁ!と人差し指をピンと立て、赤峰巡ね!と一人で納得していた。
見守った俺と掴まれていた巡はその一言で元の位置に戻る。
「仲良いの?」
聞かれて返事に迷う。
友達と思っているけど、仲良いと思ってるけど、巡にそんな事実は一切思ってません!って言われたら…。
不安が支配する。
返事出来ずにいると「まぁいいや!それよりさ…」と話題を変えた。
助かったような助かってないような。
複雑な感情が心に影を作った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 196