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文化祭Ⅸ
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人気のない階段がある。
同じ校内なのに活気が全く無くて、うっすら聞こえる声だけが虚しく響く。
ここに来るまでに買った特別に作ってもらった大盛りの焼きそばの入ったパックと二膳の割り箸。
割り箸を手渡す。
ありがと、と静かな階段に響く。
階段に座って、空いた隙間にパックを置く。
いただきます
言葉が揃って箸を伸ばす。
無理矢理話題を引っ張り出すように、「さっきの…」と声を掛ける。
動いていた手がピクッとして止まる。
俺の方を向く巡。
ずっと見ていた俺。
自然と目が合って--。
「凄かった、よな…?お疲れ様」
「……」
沈黙。
静かな空気が刺さって痛い。
バクつく鼓動が聞こえてしまうんではないかと不安になる。
聞きたい事は沢山あるのに、喉まで出て来て引っかかる。
仲良いの?その答えをまだ聞いてない。
俺達って友達だよな?
仲良くなって来てる…よな?
そりゃ逃げたけど、それはうざいとか逆に嫌われたらどうしようって思うからで。
「…お、疲れ……」
重い空気を破ったのは巡だった。
逸らしていた顔を巡に向ける。
嬉しさにバクついていた鼓動はどくどくどくと早くなる。
「……もう、関わらないで」
「えっ…?」
更に続いた言葉は、俺の心臓すら止める一言だった。
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