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無力が故に闇に誘われⅢ
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瞬きをすれば朝。
馬鹿らしい…。
まだ夜じゃないか……。
「柊季!いつまで寝てるの!遅刻するわよ!」
下から母親の叫び声がする。
いつまで寝てるの!だって。
まだ夜だって。
遅刻するわよ。何で遅刻できる?
再び目を瞑る。
…
……
………
…………
……………
………………
…………………遅刻⁉
体を起こして何度も何度も目を擦る。
人差し指と親指で無理矢理瞼を持ち上げる。
眩しい光が差し込んで眉間に皺が寄る。
恐る恐る目覚まし時計のある棚に目を向ける。
長針は12の数字を少し離れていて、短針は8の数字を差していた。
慌てて支度する。
毎日着る制服。
着間違える訳ないのに、ブレザーの上にカッターシャツを着ようとした。
着直したら今度はボタンを掛け違えた。
目を覚ましてから、らしくない事が続く。
さっきは瞼、開いてなかった。
今開けてるのも辛い。
食卓に並ぶ掌サイズの菓子パンを一つ、ひったくるように取って家を出た。
間に合いそうにない
そう判断した俺は、何時もは歩く道をわざわざ少し遠回りしてバスに乗った。
全力疾走で校門を潜ると、下駄箱で靴を履き替える。
束の間の休憩も取れずにまた走る。
ガラガラ!
と勢い良く扉を開けると同時にチャイムが鳴った。
席に着いても息は荒く、ドクドクドクと早鐘を打つ心音は暫く収まらなかった。
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