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無力が故に闇に誘われXⅣ - 巡side -
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自分の家に帰るわけじゃない。
家より遥か先を目指す。
服部の家に行くんだ。
読ませるんだ。
--服部が熱を出した時、まさかここまで追い込んでしまうなんて思わなかった。
離れた時間分だけ自分すらも苦しめて、心が痛くて、毎夜声を殺して胸を抑えた。
こんな気持ちにまでなったのは服部が初めてで、どうしたらいいのかとか何もかもわからなくて、結局兄ちゃんに縋った。
反対していたから、口も聞いてもらえない気もしたけど信じたかった。兄弟だから、俺を大切に思ってくれてるから、放置しないって。
兄ちゃんは優しいから、相談に乗ってくれて、あのノート渡してみて反応で考えろってアイデアをくれた。
何処となく、悲しい顔に見えたのは何故だろう…。
熱出して学校休んだから、俺がしてもらったようにプリントを持って行くと担任に住所を職員室に聞きに行った。
驚かれた後、行かなくていいって言われた感じ、服部も言われたんだと思う。
それを蹴ってまで来てくれたんだ…。
何だか胸がジーンとした気がした。
放課後、プリントを封筒にいれていると、いつも服部の側にいる男子生徒が来て、一緒に行くと何故か付いて来た。
話さ無いのに、無言で隣を歩かれて気まずくてたまらない。
家に着くなりチャイムを押したのは彼で、上がらしてもらったら、何か話してすぐ帰った。
押し退けられて、どうしていいかわからなくなってると、「お前も帰れよ」と放たれて、服部は昔を思い出させたくらい睨んできた。
身体は震えて、逃げたくなった。また同じ繰り返し。そう思ったら急に怖くなって。
服部が俺を抱き締めた。謝ってきた。
心臓がバクバクと鳴って、伝わってるんじゃないかって思う程早くて、引き離した。
後は逃げるようにノート渡して、任務完了。一安心はしてた。
2週間、会え無い日々が辛くて怖くて仕方なかった。
家に着いた。
服部の腕を離して入れて欲しいと願ったら入れてもらえた。
部屋に通されて床に正座して座る。
ベッドに腰掛けながら、何処からかノートが取り出されていた。
直に感想を聞くのは勇気のいる事。
正直怖かったけど、ここまで来て逃げてる場合じゃないと腹を括って、紙が捲れるしゃっと言う音だけの静寂に耐えた。
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