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希望の光が満ち溢れⅠ
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「世界の音ってのは、みんなの話し声、生活音の事……だよ、服部…柊季」
隙間風が消えて、ボォーっと音が聞こえる。
その前に聞こえた、柊季と恥ずかしそうに呼ぶ声。
声の主は当たり前にも巡で、言った本人は耳まで赤くして俯いて俺に背中を見せていた。
可愛い奴…。
そんな巡の背中を眺める。
少しずつ、巡本人に近付ける。あの時みたいにふわふわした浮ついたものでも何でもない、しっかりとした本物に。
耳に装着したままのヘッドホンを隠すように手で包み込む。
ボォーっと鳴る音は消えずに増した。
目を閉じてその雑音にすら耳を澄ます。
普段あまり気にしない音が聴こえて来る。
鳥の囀り
工事現場の騒音
運動部の走る時の掛け声
ボソボソ聞こえる低すぎず高すぎない声
「…き、らわれた?キモがられた?」
「……ばーか」
「ばっ、馬鹿⁉、!!」
ボソボソ声の言葉が聴こえそうで聞こえなくて、ヘッドホンを取って耳を澄ませていたらそんな事口にして。
本当馬鹿だな、可愛いな
って、思った。
世界の音って言われて、聴かされても、まだ魅力とか好きになるような理解できない。
それでも少しずつ理解していきたい。巡をもっと知りたい。
それは何にも変えられない。
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