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希望の光が満ち溢れⅤ
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「おい、柊季何処行くんだよ」
「今日パス」
「はぁ?、--!!」
凪の声が背後から飛んでくるも、離れて行く程聞き取れず、無視して先を急いだ。
購買で焼きそばパンと紙パックのコーヒー牛乳を買って、教室に戻る。
その頃には凪達の姿はなかった。いつもみたく食堂に行ったのだろう。
だか、今日の俺が向かうのは食堂ではなく、、
「めーぐる!」
「……馴れ馴れしい」
「嬉しいくせに、面倒臭い奴」
そう、友達なりたてホヤホヤの巡の元!
突っかかるが嬉しそうに顔が綻んでいるのに自分では気付いていないのだろう。
凄くニコニコして見える。
可笑しいくらい笑えてしまうが可愛い。
その分の教室に残った生徒の視線は痛々しい程に感じ取ってしまったが。
巡の席の前の椅子を借りて、机の上にさっき買ったパンとジュースを置く。
巡の弁当はきっとあの母親が作ったんだろう。
色とりどりの野菜にタコさんウインナー、定番の卵焼きに申し訳程度に入っていた唐揚げ。白ご飯の上には海苔とふりかけで所謂キャラ弁みたいに描かれてる栄養満点の弁当。その可愛らしい弁当に釘付けになっていた。
巡に食べる?と卵焼きを挟んで差し出してきた時は驚いてショート。数秒後に、食べる!と口を開けて向かいいれた。
甘めの卵焼きだった。ふわふわと柔らかくて、巡と母親の素が出た優しいものだった。
美味いと言うとありがとうと返してくれて、代わりと言ってはなんだが、欲しいかどうかは別として焼きそばパンを少し分けた。食べてくれたけど、迷惑ではなかっただろうか?
「巡の母親は天才だな」
「……そのまま伝えとく」
「おう!」
この日は弁当が話題となり話が続いた。
意外だったのは朝早く起きたら弁当作りを手伝っている事。意外と話し出したら止まらない事。
母親の話も直々出てきて仲良い親子だと思った。
巡の印象が右肩上がりに良くなって行く。
「ご馳走様でした、帰りも一緒に帰ろうぜ!」
「…友達、、いいのか?」
「そんなんで捨てる奴友達なんかじゃねぇよ」
「……」
何処か気に食わないと言うような表情を見せたが、気にせずに強引な約束を取り付けて、ゴミを捨てに席を離れた。
丁度食堂から戻ってきた凪と友達に、一緒に帰れない事を伝えて、違う話をした。
何食っただの、食堂で起きた事など。
凄く楽しそうに聞こえたけど、巡といるのが楽しくなかったとかそんなんじゃなくて、純粋に巡ともそんな風になりたいと思っただけだ。
この世界はそんなに狭くないって事を教えたくて--。
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