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希望の光が満ち溢れⅥ
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帰路をゆっくりと歩く二つの影。
その影は表情を見せない。
その影は口を動かさない。
その影は--やがて立ち止まる。
「いっ、、ぶき?」
「ん?」
「俺といて楽しい?」
そう口にした巡は下を向いたまま顔を上げない。
夕日が巡の髪を照らす。
赤茶色の髪は更に赤みを増して、輝いた。
「楽しいってより、今は知りたい…かな」
「知りたい…?何を?」
「……破棄されんの嫌だから言わね!」
「……」
過去について触れたら、巡に一生と言っても過言では無いくらい避けられてしまうだろう。自分から話してくれる日が来たら、それはそれで嬉しい。
待つのみの俺には、あのルールに沿うしかないのだ。簡単に口を開くものじゃないと痛感する。
「…次はどっか寄り道して帰ろうぜ?友達だからな!」
「ゲームセンター…か?」
「ぶはっ!どんな固定概念だよ。典型的すぎ」
笑いを堪えられずにいると、またもむすっとした巡は俺を越して先に行ってしまった。
あのむすっとした表情も可愛いく見える。
慌てて追い掛けるも、避けるように早歩きになっていたちごっこが続いた。
そんな事してたらあっという間に巡の家についてしまった。
明日もまた会えるのに、メールすれば連絡出来るのに、別れるのが名残惜しくて門前で巡を引き止めてしまった。
話す事もないのに、止めてしまったからには話さなくてはと思って、思い出した家族構成について口にした。
「兄貴いるよな?何歳」
「二十歳」
「大人か…」
「何?」
「いや、知りたかっただけ!引き止めて悪かったな!明日な!」
「う、ん…明日」
本当、自分でもなんでかわからなかった。話題が広がるとか思ったのだろうか。
巡と別れて帰路につく。
そういやと思い返せば、凪とは幼馴染だとして、どうやって友達を作ったのか思い出せない。気付けばいる友達に何の違和感も感じずに接していた。
「こんなムズいものなのかな…」
頭をガシガシ掻いてはぁ…と溜息を吐いた。
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