アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
望む答えはただ一つⅤ
-
「…ちょっとだけ、時間いい?」
「⁉、、嗚呼…」
オレンジ色に染まる教室に浮かぶ無数の机と立っている人と突っ伏す俺の二人の長い影。
待っていたのでもないが、帰りたくもなくて居座っていたら陽は大分沈んでこんな時間だ。
俺の前に座った話しかけた人は、顔だけを上げて出来た隙間、机の上に携帯をカタンと置いた。
見下げて画面を見ると赤峰巡と打ち込まれたプロフィールが映っていた。
でも、そこに書かれてあるメアドはあの謎のメアド。見比べ過ぎて、嫌ってほど頭に記憶された本物と他人?のメアドは見るだけでどっちが本物かわかる。
「何?」
「これ……兄ちゃんのやつ」
「うん、…………はぁ⁉」
「……最初やり取りしてたの兄ちゃん」
「…………楽しかったか?からかって」
「違う!!…見極めてもらっただけ…だ」
巡は携帯を取ると、何か指を動かして操作した後携帯をスラックスのポケットに突っ込んだ。
見極めてもらうってなんだよ…
兄貴が巡の友達決めんのかよ。俺が癪に障る事言ったらやめろとか言われるって事だろ?
んだよ、それ…。
俺の信用ねぇじゃん。いつ裏切られてネット流されるかわかんねぇじゃん。
違うって、そうなんだって。からかってんだよ。馬鹿にしてんだよ。
信頼とかそんなもん、仲良くなって段々作ってくもんなんだよ。
何か…
「……見損なった」
「……ごめん、でも俺!」
「悪りぃ、今言い訳聞きたくないわ。またな」
逃げるように、教室を出た。
廊下を歩く
階段を降りる
下駄箱に着く
いつもと同じ行為、同じ距離が何故か物凄く長く感じた。
操り人形
命令で動くロボット
心のない人間になんて見えなかったのに。あんなに人に拒絶反応見せる割には、人が好きそうな素振りするのに。
無表情が多い割に時々見せる表情は豊かで。
ただ、その裏に潜む過去は何を隠してるのかわからない。
それは過去に触れられない、俺を苦しめる。
それは同様に巡本人すら苦しめていた--。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
92 / 196