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望む答えはただ一つⅦ - 巡side -
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「…俺の事嫌い?」
「……」
「…だよな、ははっ」
渇いた笑いは悲しそうで、消え入りそうな声に恐怖を覚える。
俺は傷付けられたのではなく、傷付けた
嫌だ、そんなつもりなかったのに
嫌だ、久しぶりに仲良くなりたいと思ったのに
嫌だ、自分を責めるような言い方した人今までいなかったのに
嫌だ、柊季を失いたくない
目をゆっくり動かして柊季を見れば、距離を取るように後ろに下がってて、表情は曇っていた。
「…ゃだ、ぃかないで……」
「えっ?」
スッと楽になった身体は、浮いてるような感覚で、ガバッと起き上がってもいつもの気怠さはなかった。
呼び止めるように手を伸ばすと止まってくれた柊季は困惑の表情を見せる。
何か言わないと。ちゃんと伝えないと。なのに声が出ようとしない。喉に閊えて苦しい。
「……ごめんな、酷い事言っちまって」
「っ…!」
「余計辛い目に合わしたら悪りぃんだけど、本当はちゃんと向き合いたい。巡の過去と」
「……俺、柊季に嫌な思いさせるつもりなかったのに…」
こんな事言ってくれた人初めてでどうしていいかわからない。
過去を掘り返すような事は触れる事は禁止だとノートに書いていたのに…。
向き合いたいなんて言われたら、しかもその相手が自ら仲良くなりたいと願った相手なら、困るなんて言葉で片付けられない。
ただ、そこに不安がないなんて事はなくて。不安と隣り合わせな嬉しさだけに言葉を無くす。
兄ちゃんが俺の為に考えて作ってくれた、俺も考えたノートの存在を無下にする事も出来ないのは確かで…。
もしも、話して虐められたら
もしも、それが原因で離れたら
もしも、同情で優しくされたら
望まない答えはいらない。
でもそれは、話してみないとわからない事でまた俺は頭を抱えてしまう。
こんなに面倒な事は初めてだ--。
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