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壊したくない硝子細工Ⅲ
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パシッ
乾いた音が静かな部屋に響く
慌てて謝る巡は顔を真っ赤にして目を潤ませ、今にも泣き出しそうだ。
「ごめっ、ごめん…なさぃ」
「俺が悪いから、な?」
大体想像出来ると思いますが、説明いたします。
--遡る事数分前--
耳を真っ赤にして俯く巡があまりに可愛くて、耳に手を伸ばしかけた。
さっき足されたルールを思い出して、制御した。
ちゃんと理性は残っていた。我慢出来た。
時間が立つに連れて自分の中で何が起こったのか、説明しろと言われると…(理性が)切れました。
何を考えているのか、段々真っ赤になっていく耳に理由もわからず、手を伸ばしていた。
耳に触れた瞬間、パシッっと手を叩かれた。
現在、巡は泣いてしまいました…。
どうしよう…
とりあえず、巡を落ち着かせようと触れずに言葉で宥める。
ありきたりな言葉でも、巡は少しずつ落ち着いていき、呼吸も穏やかなリズムを取り戻した。
ここからは挽回。どうしても自分を責める巡に違う事を伝える。変な方向に捉えられないように。
俺は悪者にでもなれる。
「巡?俺が掟破って触れた。叩かれて当然の事したんだ。わかるか?」
「叩く、必要はない」
頭をふるふる振って涙声で訴える。
虐めてる気分になってきてこっちが泣きたくなる。
「嫌な事されて咄嗟なら仕方ない事だろ?」
「仕方なくない!」
「じゃあ、巡が悪い事したって証拠は?」
「……」
黙り込んだ巡は首を傾げて一生懸命“証拠”を考えていた。
その間に俺は鞄を手繰り寄せて、例のノートを取り出す。プラスと書かれた頁を開いてもう一度読み返す。
見間違える訳がない。ちゃんと書いてある。
“大胆なスキンシップ禁止”
抱き締める、手を握る、顔・パーツ等に触れる
まぁ…喜んだ時のハイタッチもこの様子じゃ無理そうな感じはするけど、今は関係ない。
どう考えても、どう見ても、俺が悪いと言い切れる。
「叩く…必要ない」
「はぁ?、これ見たら?」
「見ない、必要ない!それでいい!」
頑固、強情。小さな子供と同じだ。
自分が作っておきながら、それを批判する。無意識に守らないとって思ってしまう。
「…じゃあ、それでいい。俺は巡が悪いなんて思わないけど、巡が思ってるならそれはそれで構わない。……次からは気を付けるから」
叩かれて少し赤くなった手を摩りながら、自分にも言い聞かせるように呟いた--。
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