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壊したくない硝子細工Ⅶ
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移動教室は選択一緒の友達や、誘われた女友達と向かう。向かう先が近いと必ずと言っていい程前を歩いている巡を見つけた。
後姿を見つめながらも、友達の話にはちゃんと耳を傾けて話を聞く。話を聞いてなかった、なんてヘマを何度も繰り返す訳にはいかないから。
たまに、本当たまーに、授業終わりの帰り道に巡を見つけると隣には人がいて、それも女で、身長は巡より10センチ程低くて小柄な子。胸まであるロングヘアは焦げ茶色の髪色で、ストレート。清楚系な図書系女子。時たま見える横顔は上品な満面の笑みで、それに答える巡も微笑んでる。
見たことないその表情に、自分が引き出せない悔しさを知る。
顔が広い(自分で言うな)俺でも知らないあの見知らぬ女にずるい、なんて嫉妬する始末。
聞きたいけど聞けない。
もしも
あの女が
巡の彼女だったら……
巡の事は、あのノートに書かれている事と本人から聞いた過去の事、関わって知った事以外何も知らない。
交友関係、恋人関係、子供じみてるけど、好きな教科とかスポーツ。聞けばいいのに聞けないのは、怖気づく俺の弱さ故。
友達と遊びに行った事のない巡の、初めてが俺なんだと欲深く思いたいから。
興味があるのに、持ってはいけない事の方が多そうで、無理矢理蓋をして無いふりをする。
それに、いじめの事を聞いてしまった以上、掟を破るような真似許されないんじゃないかと不安を覚えてしまう。
いつ嫌われたって可笑しく無い事を俺はしてしまったんだ。
覚悟して付き合う必要があるかもしれない。
ただ、俺だって人並みに応援してやるくらい出来る。目を瞑って、巡とあの子のキューピットにでも多分なれる。
だからちゃんと、話して欲しいと願って待とうと思う…。
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