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取り戻したいⅨ - 巡side -
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柊季と向かい合う形で座る。柊季の横には男子生徒が座ってて、声を発しない俺たちの代わりに話題を振ってくれている。
その話題に返す答えは、全くと言っていい程俺には分からなくて、二人だけが噛み合う話だった。
確か、今日は約束してないよな?とかやめろよ、消せよ。俺邪魔なら別部屋取るぞ?とか…本当に訳がわからない。俺のいる意味があるのだろうか。
「悪いねぇ〜赤峰くん!俺は別部屋行きますね……逃げんじゃねぇぞッ!」
肩をぽんっと叩き念を押して、出て行ってしまった。二人きりになった大部屋は、広すぎて、大き過ぎて、逆に息苦しかった。
流れ終わった音楽は、いつの間にか宣伝CMになっていた。
「……」
「……」
「……」
「…懐かしいな。二人でカラオケ」
「ッぇあ、うん…」
CMの音以外、何も聞こえなかった部屋に響いた柊季の声に、反応しきれず変な声が出た。恥ずかしい…。
言われると、初めてサボってカラオケに来た事を思い出す。お父さんが歌手なのに、カラオケを知らなくて、緊張した。想像とは全くの別物だった。お父さんの曲がある事を初めて知った。柊季もアニメのファンだった。沢山知った。柊季が教えてくれた。
「…た、のし、かった」
「……おぅ…今までで一番」
…そう、一番。
………
……………
………………………
一番?
ないない!
だって、柊季は俺以外とも何回も来てるだろうし、女子とか男子とか友達とか彼女とか…来た事あるはず。なんで俺なんかと行った、一番楽しくなかったであろう時間を一番だと思える。
どうせ、嘘だろ…。
「…あ゛ー、もお!帰って来てくれよ……俺の隣に…親友って枠に、時間に!!」
嘘、ウソ、うそ……
だって、柊季が女子を取っ替え引っ替えしてるって噂聞いた。
毎日放課後遊びに行ってるって俺、知ってる。
授業サボってる時、大体あんな事してるって噂聞いた。
嘘だ…うそに決まってる…そう、ウソ…
信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない、信じたくない……、、
本当は…信じたい、信じたくて仕方ない--
柊季…
俺、また傷つけてしまいそうで怖い……
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