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ショッピングⅢ - 巡side -
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佐々波くんにあげるプレゼントは簡単に見つかったのに、柊季だけは決まらない。
何をあげたいのかも見当つか無いくらい、迷う。それは失敗したくないって事が大きいからで、あげても困ら無い物で少しは柊季らしさを出したい。
浮きもせず埋れもしない柊季に合った物…。すると難しくなってしまう。
アクセサリー専門店を見つけた。
柊季へのプレゼントを探しているのに、欲が出て、何か自分もアクセサリーが欲しいと思ってしまった。そんな時に目に入った細みのブレスレット。金と銀でシンプルだけど細かく彫られた龍が格好良かった。
欲しかった。
でも今は柊季のプレゼントを。でも欲しい。
葛藤の末、値段で決める事にした。
今の持ち金で足りそうなら買おうと。
値段は2500円だった。わからなくもないんだ。こんな細かい作業してるんだから。でも、高すぎて買えない。
諦めて店を出た。
柊季は中々出てきてくれなかった。
他にも何軒も回った。
でも、ピンとこない。そろそろ泣きたくなってきた。
「暗くなったし帰るか」
「待って……あと、最後にあそこだけ」
「……いいよ。俺ここで待ってるわ」
他とは離れたところにポツンと建っていた雑貨屋に吸い込まれるように足を踏み入れた。
そこはよく言えば女の子の憧れ、悪く言えば子ども染みている。
俺はそんな場所に何故か惹かれ、その場にいるだけで癒された。
入ってすぐ目に入ってきたクマの絵が描かれたマグカップ。そのクマは柊季がクレーンで取ってくれたあのくまのぬいぐるみにそっくりだった。他を見て回っても、どうしてもそれに惹かれて、柊季へのプレゼントはこれに決まった。
可愛くラッピングして貰うと、ザ、プレゼント感は増した。柊季には明日まで内緒。
形が崩れないように、慎重に鞄にしまった。
お店の店員さんがありがとうございました!とニコニコとお見送りしてくれて、俺は何処と無く浮かれている。
柊季の待つ場所まで軽くスキップして向かった。
明日の柊季の反応を想像するだけで、心は今までに無いくらい弾んだ。
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