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初デートⅧ
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楽しいかって聞かれたら、そりゃ楽しくはないだろう…
でもさ、好きな人だぜ?
巡だぜ?
楽しくないなんて場所も時間も空間もないだろ
巡といれるなら何処でも楽しい。何処でも幸せ。何処でも俺たちだけの時間。
簡単に手放せるわけないだろ
でもさ…
どうしても帰らなきゃいけない
どうしても別れなきゃいけない
そんな時間ってあって…
「…もうそろそろ帰ろうか」
「…………う、ん……」
こくんと頷いて俺の後ろをついてくる。もっと傍にいて欲しいのに、手を伸ばして捕まえておかないと離れて行きそうな程距離を取る。
少しだけ、ほんの少しだけ、自惚れてるんだと思うけど、まだいたいって抵抗してくれてるみたいで嬉しくなる。
「柊季……後…5分……だけ」
俯いてキュッと俺の服の袖を掴んでそう言った。
かと思えば、直ぐに今のなし!と言われて、またなって離れて行こうとした。
空を切る感触が痛々しい事を俺はよく知ってる。
一人だけを包む空気の重さを俺はよく知っている。
「待て!」
ミスなんてしない。ちゃんと“巡の腕”を掴んだ。逃さないように、離さないように、しっかりと。
「柊季…?」
「5分、話そっか。…とは言う物の何話そ」
「…柊季は、何が好き?」
「巡」
「え?」
「え?」
「…………」
「好きな物だろ?巡」
目を見開いたまま、開いた口が塞がらない巡。そんなまずい事言ったつもりねぇんだけど…。え?墓穴掘った!?
「まじ、、ありえねぇ…」
巡はふるふる震えていた。
それは腹が立つとか、寒いとかそんなんじゃなくて、嬉しさからって感じの震え方。現に声が鼻声だ。
俯いてる巡はそろっと俺を見た。少し目を赤くして、恥ずかしそうにニコッとすると、俺も…なんて囁くように呟いた。
かあぁっと真っ赤に顔を染めた巡より、俺の方が恥ずかしくなってその場に座り込んで腕で顔を隠す。
頭上ではえ?え?って慌てた声がする。
隣にしゃがみこんで俺の背中や腕に手を当てて本気で心配してくれる。顔が見れないから想像だけど、慌てふためいてる巡の顔を想像しただけで、キュンとくるものがある。
手を出したくなってしまう。それは絶対してはいけない事。
巡を困らせたくない
巡に嫌われたくない
巡に--
「あの…大丈夫ですか?」
「⁉」
「だっ、大丈夫ですッ!!ありがとうございます」
「そう…?、お大事にね?」
「ありがとうございました」
頭を下げて遠ざかる見知らぬ女性を見つめながら、心配されてしまったと心の中て苦笑い。何でかなんて理由は見りゃわかんだけど…、巡はそうもいかないらしい。
……今にも泣き出しそうだ。
感情がぐちゃぐちゃして頭湧きましたって顔してる。現に、巡は急に話しかけたられたり見知らぬ人と話す事に免疫がないからか、抵抗感と不信感を抱いてるらしく、人馴れしてない典型的な感情だと思ってる。
これでも巡の体質については色々調べた。
コミュ障とも言われがちなこの態度に、巡本人はどう思ってるかわからないけど、少しでも解決策を見つけていきたい。
ま、今は安心させるが先決だ。
「巡」
「ぁわっ、、だ、れ?」
「知らね。あんま気に留めんなよ?ただの心配してくれた優しい人なんだから」
「…ん」
それよりと巡らしい怪我の心配をしてくれる。怪我も何も原因は巡だけど、その優しさに甘えとく。のっそり立ち上がると一緒に立ち上がる巡。
もう大丈夫そうだ。
「帰るか」
「うん…」
巡の家まで送って行った。
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