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ドツボに嵌まるっていうのは、こういう事を言うんだと思う。
「おい、早く食えよ遅刻するぞ」
朝食が並ぶ食卓にパジャマのままつく渚。
4月に入って、大学が始まって。
気が付けば掃除、洗濯、メシ作り…渚の身の回りの世話を全てやってる自分がいた。
「目玉焼き、半熟が良かったんじゃけど。」
加えて言うと、ケチまでつけられてる。
「知ってるよ。ミスった。半熟には戻せないから今日はそれ食って。」
そう言うと、不満そうな顔で渚が目玉焼きをほおばる。
「渚さ、大学でもそんな喋り方するわけ?」
黙って食事を続ける渚に、ふと訊いてみる。
「何が言いたいん?」
「いや、めっちゃ訛ってるからイジメられたりしないかと思って。」
「訛っとらんけど。」
からかうように言った言葉に返ってきたのは衝撃の答え。
「訛ってるよ。」
「どこが訛っとるん?」
まさかの、自分が訛ってるのを分かって無いっていう。
前から思ってたけど、渚は全然周りの事とか見てない。
だからって、 この自己認識もあり得ないけど。
「学校、楽しい?」
何だか色々心配になってきいてみる。
「まだよく分からんけぇ、たいぎい」
相変わらず、広島弁丸出しの渚の答えに笑った。
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