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制裁
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どーも、篠宮時雨だよ。
いやぁ、仕事がないっていいねぇ。
今日は昼に少しやっただけで終わったから、放課後は仕事がない。
だから、るんるん気分で鼻歌を歌ってたのに……
『…………や…………助け…………!』
声……だよね?
しかも、ヤバそうな……
何処だろ?
僕は声が聞こえてきた方に、気配を消して向かった。
『助けてっ!』
今度ははっきり聞こえてきた。
見回せば、すぐ近くにカーテンで閉め切られている空き教室があった。
ここか……
扉を開こうとしたけど鍵がかかってる。
扉を叩いて呼び掛ける。
「ねぇ、開けて?」
返事はない。
もう一度扉を叩いて呼びかけるけど、やっぱり返事はなかった。
「忠告は最後だよ。
ねぇ?」
あぁ、そう。
じゃあ、強行突破させてもらうよ。
「さーん……にぃー……いーち……」
ゼロ、と言いながら、扉を思い切り蹴り飛ばした。
扉は凄い音をたてて外れた。
中に入ると、怯えきった子達が目を見開いてこっちを見ていた。
「これってさ、制裁ってヤツ? だよね?」
被害者はシャツを裂かれていて、肩を震わせていた。
加害者は四人。
皆、顔は可愛いのにね。
僕はポケットから携帯を取り出して風紀に連絡した。
「もしもし? 僕、篠宮だよ。
えっとねー、今、制裁現場に遭遇しちゃってさ。
うん。 場所?
美術フロアの東階段を行ったとこの、奥から3番目くらいかな。
じゃあ早く来てねー」
通話を切って彼らに向き直る。
「あの、篠宮様……」
「様はやめてね?」
「えっと、これは……」
「もうすぐ風紀来るからその時にね」
言い訳なんかさせないよ。
シャツを裂かれたその子にブレザーを渡す。
「寒いでしょ?
12月だもんね。
ソレ着ていいよ」
「でも……」
「僕はカイロあるから大丈夫」
ポケットからカイロを取り出してシャカシャカ振ってみる。
「あの、篠宮さん、これはソイツが悪いんです!」
「悪いってどういうこと?」
「ソイツが生徒会の皆様に近づくから……」
「関係ないよ。
この子が意図的に近付いたとしても、そうじゃなかったとしても、今悪いのは、絶対的にこの子じゃなくて君達なんだから」
「な、なんで……」
わからないの?
頭が悪いみたいだね。
僕は笑みをおさめて被害者を庇うように前に立った。
「制裁は風紀のルールとして禁止されてる。
それに対して生徒会に近付いたらダメ、なんてルール、公式にはないんだよ。
だから、今、僕が生徒会補佐として咎めるのは君達の方」
「でも!」
「あのさ、もう僕も怒っていいかな。
聞き分けがないね。
いつまでくだらねぇ言い訳するつもりだよ」
抑揚を抑えて四人を睨みつける。
怒ってるんだから言葉遣いが荒れても別にいいだろ?
「これだけ言ってもわかんねぇのか。
いつまでも藻掻くな。
見苦しいんだよ」
しんとした空き教室で、四人が体を震わせた。
ふざけんなよ。
「この子がどれだけ怖かったかわかってんのか?
なぁ?
なんで泣いてんだよ?
自分勝手に泣いてんじゃねぇぞ!」
一方的に誰かを傷つけて、自分が不利な立場になったら泣く?
どれだけ自己中だ。
自分より低い身長の彼らを見下す。
間もなく、委員長が中に入ってきた。
「あ、ごめんね、忙しいのに」
「いや……これが仕事だからな」
「そっか。
じゃあ僕のごめんね返して?w」
「アホか。
おいお前ら、ソイツら指導室に連れてけ。
そっちの奴は状態を見て自分で考えろ」
うん、大雑把だけど、それで皆ついていくんだから委員長はトップの器なんだろうね。
「あれ、会長も来たの?」
「悪いか?」
「別にそうじゃないってw
ただ、今日は仕事ないからもう帰ったのかと思ってた」
「帰っても暇だから、睦月と打ち合わせをしてた所だ」
睦月?
って、委員長の名前だっけw
そう思って委員長の方を見たとき、なんだかすごく怖い顔をした委員長と目が合った。
「おい、篠宮!
これテメェがやったのか!」
「扉のこと?
うん、蹴ったw」
「蹴った?
お前みたいな華奢な体でか?」
「信じられないならもう一枚蹴り飛ばしてあげようか?w」
「やめろ、修理費が勿体無い」
「金持ち校のくせに今更扉の1枚や2枚や3枚、心が狭いなぁ」
「あのな……
もういい。
お前にも事情は聞くから、指導室に来い」
「待て睦月。
篠宮に話がある」
「…………そうか。
バックれんなよ」
どこのヤンキーですか、あんたw
委員長達と離れ、会長についていく。
しばらく進んで、空き教室に入った。
会長はそこらの椅子に座って、僕を見つめてきた。
「お前、普段キャラ作ってんのか?」
「………………え?」
キャラ?
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