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否定
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「安曇野は君のことを駒としか見てないんでしょ」
好きじゃない。
ただの駒。
有能で単純な駒。
「自分の嫌いな会長を貶めるために君を使ってるだけだよ」
「……どうして……どうして、言っちゃうんですか…………貴方は酷い……」
「酷いのは安曇野でしょ。
それに、偽りの感情や優しさを鵜呑みにして人を傷つけるなら、僕は君を止めるよ。
君にとってそれが、残酷なことだとわかっていてもね」
知りたくないから隠しておく。
よくあることだし、それはそれでいいと思うけど、そのせいで誰かを傷つけるなら…………
「……本当はわかっていたんです……でも認めてしまったら、私は……私が今までしてきたことは……
…………彼への気持ちは……」
「本当に好きなの?
安曇野のこと」
「……………………」
「ただの羨望や憧れか、すこし嬉しくなっただけじゃないの?」
副会長は僕の腕を掴まれたまま膝をついた。
「そうですよ……嬉しかったんです……私に、無理に笑わなくてもいいと言ってもらえたことが……嬉しくてもっと言ってほしかっただけです……恋でもなんでもない……
……ははっ……馬鹿みたいじゃないですか、こんな、惨めで……」
「惨めじゃないよ。
今からだってやり直せる。
ねぇ、一緒に仕事しようよ。
安曇野くんを取られまいと必死に追いかけ回すのは、もうおしまいにしよう?」
まだ、やり直せる。
生きてるんだから。
「……貴方は、凄いですね……
羨ましいです……私も貴方くらい強かったら……」
「強くなんかないよ」
僕はただ、弱さを知ってるだけ。
涙を流す副会長にハンカチを渡す。
ハンカチ持ち歩く系男子だからw
「あ、忘れてた。
僕、会長に探されてたんだった。
ねぇ、一緒に行こうよ」
「……でも、今更会わす顔が……」
「自分が間違ってるってわかってるなら謝ればいいじゃん。
会長ってああ見えて結構優しいから、許してくれるよ。 たぶん」
「不確かですか……」
「まぁまぁ。
落ち着いたら行こうか」
間違いなんて誰だってあるものだよ。
それを悔やめるなら、周りが厳しかったって、何度だってやり直せる。
副会長と空き教室を出て、長い廊下を歩く。
「あの、今更なんですが、貴方のなまえは……?」
「僕?
僕は篠宮時雨だよ、よろしくね」
「あ、は、はい……///」
……………………ん?
「あ、あの……私、皆に謝ろうと思います。
そして、噂を否定しようと思うんです」
「うん」
「……でも、正直、怖いんです……
非難されたら、と考えると……」
「その時は僕が庇ってあげるよ。
一生懸命な人は応援するから。
ね?」
「……///
はい、ありがとうございます……///」
……………………ん?
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