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オバケ
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無事誰とも会わずに西校舎に来ることができた。
それにしても、相変わらず蔦がはってて薄気味悪い場所だなぁ。
そりゃ、西校舎ってほとんど使われてないし。
むしろ廃墟に近い。
なんか……
「幽霊とか出そうだよねw」
「やめろ」
「…………え?」
「口に出すな」
「え……もしかして会長、幽霊とか苦手?」
「な、そ、そんな訳……はっ、そもそもそんな非科学的なもの信じ」
「わっ!」
「ぎゃあぁぁぁあ!」
こっちの方がびっくりした。
会長はハッとして口元を手で覆った。
「へぇwww会長ってばwwwオバケ苦手なんだぁwwwwww」
「だ、だから、そんな訳ないだろっ。
さっきのは…………す、少し、驚いただけだ」
少しどころじゃなかったけどwww
「まぁ、そう言う事にしとこうかなw」
なんだ、やっぱり可愛いじゃん。
ん? でも、幽霊とか苦手ならなんで西校舎?
確かに人は来ないけど、こんな怖い思いしてまで来るかね?
うーん、と考えていると、後ろの茂みがガサガサと動いた。
「ヒィっ、な、な、なっ」
会長ってば、僕を盾にしないでよw
「誰か居るの?」
僕はそう問いかけて茂みに近づいた。
すると、そこには…………
「わっ、可愛いっ」
トラ猫でした。
「なんだ、猫か……」
「良かったね、オバケじゃなくてw」
あ、そっぽ向いちゃった。
不貞腐れてんのかな。
「化け猫だったりして」
「え゙っ」
「冗談www」
あ、ほんとに不貞腐れちゃった。
かぁわいい。
「それにしても、ほんとに誰も来ないんだね」
「…………」
「なんか静かだね」
「…………」
「……空綺麗だね」
「…………」
「なんか喋ってくれないの?」
「…………」
不貞腐れ方も可愛いな。
クチきかないとか、女子かよw
「まったくもう……ちょっとからかっただけなのに…………
ん……? なんだろう、あれ」
「その手には乗らない」
「あ、バレた」
会長は猫と遊んでる。
可愛い。
ん? どっちがって?
どっちもだよw
「あとどれくらいかなぁ」
「まだ1時間はある」
「マジかぁ」
暇だなぁ。
来なきゃ来ないで暇っていうね。
「♪粉雪ーねぇ心まで白く染められたならぁ……あぁ……♪」
無意識に歌っていると、会長がこっちをじっと見てきた。
「うん? どうしたの?」
「お前、気分良くなると鼻歌歌うだろ」
「まぁね、今のは鼻歌じゃなかったけどw」
「歌ってるのって、失恋の歌ばかりだな」
「そう?
意識したことはなかったかな」
「失恋でもしたのか?」
「んー? いやぁ、失恋はしたことないかな」
これは失恋とは言えない。
正式に別れた訳じゃないし。
「誰を想ってる……?」
「…………」
「オレには、話してくれないのか?」
会長がさみしそうに目を伏せた。
「…………1時間も余裕あるんだよね。
人が来なければ。
……じゃあそれまで少し話そうか。
僕の昔話」
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