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過去(時雨)
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しばらく時雨の過去編になります
暴力、流血表現注意です
「あんたなんか、産まれてこなきゃよかったのに!」
そう言ってお母さんは僕を叩く。
「死ね! もう、死んでよ!」
気違いみたいに叫んで、泣きながら僕を叩く。
僕は生きてちゃいけないの?
どうして?
僕が…………
本当の子どもじゃないから?
だからお母さんは僕を嫌うの?
「さぁ、時雨。
お洋服買いに行きましょうか」
お母さんがご機嫌の日は決まってる、お父さんが帰ってくる時だけなんだ。
海外での仕事が多いお父さんが帰ってくる時、虐待してるってバレないように、その前だけは優しくしてくれる。
「おぉ、時雨。
少し見ない間に成長したなぁ」
お父さんが僕を抱き抱える度に、お母さんが恨めしそうに僕を見てくるのも気づいてる。
僕の本当のお父さんは僕が産まれてる前に交通事故で亡くなり、お母さんは僕を産むと、名前もつけずに行方不明になった。。
それから、本当のお父さんのお兄さん夫婦に引き取られた。
だけど、その家には、既に子どもが居た。
僕より10歳も年上のお兄さん。
名前は時都お兄さん。
今は高校生で、全寮制の学校に通っている。
その為、長期休暇期間しか家に帰ってこれない。
だからいつもお母さんと二人だけ。
だから、いつもお母さんに叩かれている。
「あんたが居るから!
あの人が私を見てくれなくなった!
あんたなんか、あんたなんか……!」
そう言った母さんの顔は、酷く醜く歪んでいたような記憶がある。
そして、父さんが帰ってきた小学校5年生の秋、居眠り運転をしていたトラックにひかれて母さんは亡くなった。
勿論悲しくも寂しくもなかった。
かと言って、虐待から開放されたからって、嬉しかった訳でもない。
何も感じなかった。
涙を流す父さんと兄さんは、僕が虐待を受けていたことなんて知らないんだろう。
別に今更虐待を受けていたんだ、なんて言うつもりはない。
言ったところでどうしようもないこともわかってる。
「時雨、大学は寮か自宅から通うか選べるんだ。
これからはオレが傍に居るよ」
兄さんは僕を気にかけてくれたけれども、その頃はもうすっかりひねくれた性格になっていた。
だから、あの時
「別に無理して傍に居てくれなくていい」
兄さんの悲しそうな顔を覚えている。
あの時はそんな顔ですらイラついて……
そしてひねくれたまま中学校にあがった。
「まぁ、別にそのことに関しては、そう言えば虐待まがいのことされてたなー、くらいにしか思ってないから、そんな気にしなくていいよ」
だって、本当にどうでもいいから。
「……オレ、お前のこと、不自由なく暮らしてきたんだろうなって勝手に思っていた…………ごめん……」
「え? いや、別に会長が謝ることじゃないよ。
ほら、虐待されてたって言っても、今は楽しく暮らしてるし、あんな人のことなんてずっと覚えてる必要もないじゃん?
それにこのことは父さんも兄さんも知らないし」
なかったことに、なんてできないけど……
俯いていた会長がふいに顔を上げて、こっちを見据えてきた。
「続き……聞いてもいいか?」
「…………うん。
中学上がる頃は捻くれてて、まぁなんだろう。
不良? みたいな。
授業サボったり、教師に暴言吐いたり。
で、そんな頃に出会った人が、僕を助けてくれたんだ」
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