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27日
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クリスマスパーティーから2日。
冬休みになってからも2日目。
昨日は僕と会長と日月くんと副会長。
今日も僕と会長と日月くんと副会長。
他の二人は何をしてるんだろうね。
カタカタとキーボードを打って、カチカチとマウスを叩く。
ガサガサ資料を探して、ペラペラページを捲る。
…………音だけだよ。
会話なんて誰もしてない。
それぐらい忙しいってこと。
そんな感じが暫く続いて、ふいに会長が手を叩いた。
「休憩の時間だ」
「あ、ほんとだ」
「では飲み物を用意しますね。
珈琲とお茶がありますがどうしますか?」
「アイスティー」
「あ、僕手伝いますっ」
「じゃあ僕は珈琲で。
無糖、ミルクたっぷりお願いね?」
「はいっ」
なんか副会長ってばいい返事w
伸びをすると肩や腰辺りの関節がポキポキなった。
ちなみに、1時間ごとに休憩を入れる、っていうのは僕が言い出した。
人間集中力続かないんだから、ちょくちょく休まないと。
それに僕の身がもたないw
首を回していると、生徒会室に設置されている給湯室から二人が出てきた。
「どうぞ、篠宮さん」
「ありがと。
うわぁ、凄いいい匂いする、美味しそう」
「あ、ありがとうございます///」
嬉しそうな副会長に、僕もほっこりする。
そして一口目を口に運んだ。
「おいしい……何これ、凄いおいしいっ」
すっごい僕好みの味!
ヤバイ、もうこれないと仕事出来ないよ!
「副会長、ありがとうっ」
「あ、いえ……こちらこそ……///
あの、お願いがあるんですが……」
「うん? なに?」
「その……名前で呼んでくれませんか?」
「名前? 全然いいけど?」
副会長って確か……二森春だよね。
「春くん」
そう呼んで笑いかけると、副……春くんは顔を真っ赤にした。
……どうして?
「えっと、春くん?」
「ありがとうございます!」
何が?!
名前呼んだだけなのに。
僕が首を傾げていると、唐突に生徒会室の扉が開いた。
「時雨ー!!」
「げっ、兄さん。
……と、要さん?」
「理事長っ?」
副…………春くんが驚いてるよw
「どうしたの? 要さんまで巻き込んで」
「時雨にプレゼント!」
「え、要らない」
「なんでっ?!」
「だって兄さんっていっつも変なのしかくれないじゃん」
「今日はちゃんとしたのだよ!
ねぇ、お願いっ、開けてみて?」
兄さんから箱を受け取る。
四角い箱だ。
そして視界の隅では春くんが兄さんを見て、「ホストじゃない……」と呟いていたwww
「ほら、早くっ」
「急かさないでよ。
これでびっくり箱とかだったら投げ返すからね」
そう言って箱の蓋を開ける。
その中には白い布に包まれた何かと、白いカードが入っていた。
「……なにこれ?」
箱を机に乗せてカードを取り出す。
“時雨へ
お誕生日おめでとう
もう18だね
頼りない兄だけど
兄さんっ呼んでくれてすごく嬉しいよ
これからもちゃんと家族でいようね
愛してるよ
時都”
「っ…………」
「時雨、お誕生日おめでとう。
大好きだよ」
兄さんはそう言って僕を抱き締めた。
思わず涙が出そうになって、兄さんの胸に額を押し付けた。
「……ありがと……」
呟いた声が震えちゃったけど、精一杯強がってそのまま兄さんの胸に頭突きをした。
「痛いっ」
痛がる兄さんを他所に、白い布に包まれた物を取り出す。
それは綺麗なガラスのオルゴールだった。
繊細で凄く綺麗な。
「…………ほんとにまともだ……」
「そうだよ、時雨のための特注品なんだから」
「特注?」
「そう、流れる音楽を頼んだの」
「そんなことできるんだ」
「時雨のことが大好きだから、オレはなんだってするよ」
よしよし、なんて僕の頭を撫でてくる。
恥ずかしいからいつもはその手を払うんだけど、兄さんがお兄さんっぽいから、今はされるままになってみた。
その後ろでは要さんが兄さんを愛しそうに見つめていた。
「時都、そんなに時雨くんばかりだと嫉妬するよ?」
「え? あ、ごめんなさいっ」
「ふふっ、冗談。
時雨くん、僕からはこれだよ」
要さんにもらったのは本だった。
虹の写真集みたいだった。
ふと虹のことを思い出す。
それでも平然を保って理事長を見返した。
「それはね、僕の先輩の写真集なんだ。
その人は誰かを元気づけたり感動させたりするような写真を撮れる人でね。
君一人が辛いことを背負わなくてもいいんだよ、僕にできることは限られているけど、君には味方がたくさんいる。
それに、たまには時都にも甘えてみなさい。
君のお兄さんなんだから」
「……はい」
「時雨、可愛いっ。
なんでもオレを頼ってね。
この後会議があるからもう行くけど、何かあったらすぐに電話してくるんだよ?
その時どこにいたってすぐに駆けつけるからね!
じゃあ、またね」
兄さんは手を振って、要さんと一緒に生徒会室から出ていった。
僕は手元のオルゴールとカードと写真集に視線を落とした。
“虹 池宮光”
…………池宮……?
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