アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
大晦日
-
昨日、部屋を綺麗に掃除して、今日の準備も済ませた。
11時待ち合わせだから、あと数分したら家を出なきゃいけない。
なのに……
「なんで今日に限って寝坊するかな……」
服は昨日選んでおいたけど、寝癖が酷い。
いつもなら水で戻るんだけど、今日に限って強情な寝癖……
でも、適当な髪で行って、会長に恥ずかしい思いとかさせたくないし……
奮闘した結果、6分も遅刻するというね。
やっぱり会長は先に来ていて、走って乱れた呼吸を正しながら近づいた。
「ごめんね、遅刻しちゃって」
「いや、オレは別に……
お前、走ってきたのか?」
「いや、だって6分も遅刻とか、ありえないでしょ」
本来待ち合わせするなら、時間よりせめて5分早く待ち合わせ場所につくようにしてる。
普通でしょ?とか思ったけど、会長は「真面目だな」と、何故か苦い顔をした。
それから僕たちは駅までバスで行って、新幹線に乗った。
予定だと2時間足らずで着くらしい。
さすが日本の技術。
「でも、2時間も暇だね」
と会長を見れば、既に俯いて寝ていた。
はや……
そんなに眠かったのかな。
僕は流れる窓の景色を一瞥して、リュックからお気に入りの本を取り出した。
2時間か……本、足りるかな。
一応3冊持ってきたけど。
30分程して、僕が読書に没頭していると、ふいに肩に重みを感じた。
見れば、すやすや眠る会長が、僕の肩に頭を乗せている状態になってた。
会長は色白で、綺麗な黒髪が綺麗な肌によく映えている。
まつ毛も長いし、首も細い。
首っていうか、全体的に細くて、痩せ型かな。
じっと見つめて観察してみる。
…………虹とは……全然違う。
虹は少しクセっ毛で硬い髪質で、ブロンドの髪。
どっからどう見たって男だし、性格は馬鹿に明るい。
対して会長は、さらさらの綺麗な黒髪に中性的な顔立ちで、ハーフだからか肌は白くて綺麗。
ちょっと厳しいけど、どこか天然。
全然似てないのに、僕は、虹に対する気持ちと同じようなものをたまに会長に感じる。
誕生日の時は、凄く嬉しくて、無意識に好きだな、なんて思ってた。
虹には守ってもらった。
…………僕は……会長を守りたい。
これって……どういうことなんだろう……
この感情は“好き”だけど、虹とはかけ離れてる。
それより……虹のこと、今でも死ねる程好きなのに、会長のことも好きもしれないなんて……
これって二股になるのかな。
っていうか、この感情は“好き”なのかな。
…………わかんない……
……もうこうなったら、大人に相談するべきだよね。
………………多胡先生に電話しよう。
……っていうか、最近、多胡先生と繋がらないんだった。
なんかなぁ……まだ問題は残ってるなぁ。
そんな風に考え事をしていると、あっという間に目的地に近づいていた。
「会長? 会長、起きてー?
着いたよ?
降りるよー?」
「…………ん……?」
ふっ、と目を開けた会長は、少しして、勢いよく起き上がった。
起き上がった、っていうのも、僕が考え事をしてる時、段々会長の頭が下がっていって、膝枕みたいな体制になってたんだよねw
「わ、悪いっ」
「全然大丈夫だよw
それよりもうすぐ着くって」
少し頬の赤い会長は、俯きながら「そうか」と答えた。
かぁわいいw
そして新幹線を降りた僕たちは、バスに乗って旅館まで向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 198