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温泉(会長side)
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篠宮に誘われて旅館に来たはいいが、バス酔いが酷くて、随分篠宮に迷惑をかけてしまった。
治まってくると、篠宮手製の弁当をもらった。
色とりどりで綺麗な見た目と、美味い味付けに、ふと思ったことがある。
ハイスペックだな。
弁当も食べ終わって、四時頃、温泉に入ることにした。
正直温泉なんて、修学旅行や、学校行事以外で行ったことがなくて、らしくもなく高揚していた。
更衣室で服を脱いでいると、隣から視線を感じた。
「…………おい……着替えづらい」
「え? あ、ごめんごめん。
なんか結構筋肉あるんだね」
篠宮は、オレの腹筋を見た後、自分の腹部を見てため息をはいてきた。
そう言えば篠宮は細いな。
それに……なんだ……?
…………くびれてる。
……エロい体型だ。
「お前細いな、ちゃんと食ってるのか?」
「食べてるよ、朝昼晩、三食しっかり。
栄養が偏らないように気をつけて作ってるし」
「……三食自分で作ってんのか?」
「そりゃね。
安上がりだもん」
「すごいな」
「会長は料理とかしないの?」
「……オレは……まったくと言っていいほどできないな……」
どれだけ頑張っても、いいとこ卵焼きがスクランブルエッグになるくらいだ。
材料の無駄だと気づいてからは一切やらなくなったな。
中に入ると、篠宮が隣で興奮していた。
初めて温泉に来た子どもの様で、どことなく微笑ましい。
「うわぁ、凄い蒸気。
なんか温泉って感じだね!」
「子どもみたいだな。
そんなにはしゃぐと転ぶんじゃないか?」
「あ、なんかそれフラグ」
すっ、と大人しくなった篠宮に、笑いを堪えるので精一杯だ。
体を洗い流すと、篠宮は意気込んで湯に浸かった。
オレもその後に続く。
「あーー……」と声を漏らす篠宮に、オレは笑いが限界に達した。
「ははっ……老人みたいだな」
声を出して笑うと、篠宮は微かに頬を赤く染めた。
口をきゅっと結んでいる。
可愛いな。
何か話題が欲しくなって、辺りを見回した。
「誰も居ないんだな」
「うん、大晦日だしね」
そうか、あまり気にしてなかったけど、もう大晦日なんだな。
ふと、篠宮は窓の外を眺めていて、オレも見てみる。
近くに見える山には積もっていて、外は雪が降っている。
「ねぇ、会長、露天風呂行ってみない?」
そう言った篠宮は、オレの手を引いて外に出た。
さっむいなっ。
篠宮も、寒い寒いと言いながらさっさと風呂に入った。
雪の上を歩いたからか、既に悴んでいて、湯に浸かると足先が痺れる感じがした。
少しして、景色を眺めながら、篠宮は鼻歌を歌い出した。
何の歌かはわからなかったが、綺麗な声で、済んだ音で、オレは無意識に微笑んでいた。
ここに来て、また篠宮の新しい一面が見れた気がする。
ただ…………
篠宮が下半身を隠しきれてなくて、目のやり所に困るというか……
本来なら男同士でいちいち気にする必要はないんだけど……いや、篠宮の体型が悪い。
チラッ、と横目で篠宮を見る。
篠宮は機嫌よく鼻歌を歌って景色を眺めていた。
華奢な肩。
艶やかな髪が頬に張り付いている。
腰は細くてくびれていて、首も細いし、色白で綺麗で……
…………オレは変態か。
ふいに篠宮がこっちを振り返った。
目を逸らすタイミングを失って、視線があった。
篠宮はふっ、と頬を緩めて、「どうしたの?」と聞いてきた。
「……別になんでもない」
「そう?
なんか視線感じたから」
いつもみたいにヘラリと笑った篠宮に、前なら若干イラついていたけど、今は、少し胸の辺りがギュッとする。
そうじゃない。
その表情じゃない篠宮の顔が見たいんだ。
苦笑いも、照れ隠しに微笑むのも、泣きながら笑うのも見たことはある。
でも、大半はそうやってヘラヘラと笑った顔ばかりだ。
だから……
もっと色んな顔が見たい。
“池宮虹”に見せたよりももっとたくさんの顔を……
最近そんなことばかりだ……独占したくて、もっと見たくて、見て欲しくて……
触って……
抱きしめたい……
誰かにこんな感情抱いたのは初めてだ。
この気持ちはなんだろうか……
今度、日月にでも相談してみるか。
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