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手当
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「座るか?
ベッドも空いてるが」
「椅子で大丈夫」
だから早く下ろしてっ!
会長の体温を感じて無性に恥ずかしくなる。
会長は僕を椅子に座らせると、棚から手当に必要なものを探し始めた。
そう言えば前も思ったんだけど、会長って手当とか慣れてるし、保健室で何処に何があるかも把握してるみたいだし。
慣れてるっていうか、そうなのかな?
「とりあえずガーゼと……」
会長が棚から必要な物を取り出す。
その後ろ姿をぼんやりと見つめる。
そう言えば、好き、って言っちゃったらしいんだよね。
会長はどう思ってるんだろ……
テストが終わったら、ちゃんと話そうと思ってる。
まぁ、心の準備にテスト期間使うってことなんだけど。
好き、って、それだけじゃ駄目だから。
前の学校での暴力沙汰とか、今思ってることも、ちゃんと全部。
…………言うのは怖い。
それで軽蔑されたら、とか考えると……
だからこのテスト期間は、心の準備の他に、会長と今のままで居れる最後の期間になるかも知れない。
不安で、どうしようもなく怖くなる。
「頬と、どこやられた?」
「お腹、かな」
「わかった」
優しい会長の声に、頬が緩む。
それで少し痛かったけど。
いくつか道具を持ってきた会長が、机にソレを置いて僕の怪我の様子を診てくれた。
その時、保健室の扉が開いた。
「居た」
見れば、委員長と港醍くんだった。
もう仲直りはできたのかな。
「睦月か……何の様だ、さっさと出ていってほしいんだが」
「るせぇな、なんでテメェが居んだよ、胸糞悪い」
「それはこっちも同じだ」
互いに睨み合って威嚇し合うような二人の間に港醍くんが入っていった。
「喧嘩はダメですっ」
「そうだよ。
なに、委員長ってば、港醍くんに引っ掻かれでもしたの?w」
「んな訳ねぇだろ」
舌打ちをした委員長を港醍くんが宥めてる。
「翔、言わなきゃいけないことがあるでしょう?」
「……あぁ」
会長がガーゼを切ったりしているうちに、委員長は僕の前に来た。
「え、なに?」
「その……」
「??」
「その、だな」
焦れったいなぁ、なんなの?
なかなか言わない委員長に、港醍くんはなんだか怒り気味っぽかった。
「翔」
「殴って悪かったな」
「……え?」
「オイ、睦月」
ふいに会長が委員長の胸ぐらを掴んで、壁に押し付けた。
「篠宮の怪我、テメェがやったのか」
「だったらなんだよ。
だから今謝ってんだろうが」
「それが謝る時の態度か? あ゙?」
「るせぇな、テメェに関係ねぇだろ」
互いに掴み合って、今にも殴り合いそうな雰囲気だ。
一触即発っていうか……
僕は焦って勢いよく立ち上がっていた。
「かいちょ…………っ!
いった……」
「篠宮、大丈夫か……?」
腹部を抑える僕を、会長が心配そうに覗き込んできた。
「ま、マジで悪い」
「いや、いいよ。
僕が煽ったようなもんだしさ。
港醍くんと仲直りできたんでしょ?
よかったじゃん」
頬が痛んだけど、無理して笑顔を作る。
「ごめんなさい、時雨さん。
僕が巻き込んでしまったばかりに……」
「港醍くんのせいじゃないよ」
笑って返すと、会長がガーゼを手に椅子を持ってきて、僕の前に座った。
「お前らに何があって、どういう経緯で睦月が篠宮を殴ったのかは知らないが、もう一度同じことをしてみろ。
心臓抉りだしてやる」
「あ゙ぁ?
そもそも、さっきコイツが言ったように、挑発してくるから」
「それに乗るテメェが馬鹿なんだろ」
「んだと、テメェ」
「先に手ぇ出した方が負けなんだよ。
風紀委員長が、聞いて呆れる」
別に僕は怒ってないのに、なんで会長が怒ってるんだろ。
会長は手際よく手当してくれる。
その手つきは優しくて、全然痛くない。
「次は……」
「え、あ、ちょっと待って」
「どうした?」
僕は委員長と港醍くんの方に目を向けた。
「その…………居るの?」
「あ?」
「いや、悪い意味じゃなくて」
「怪我を見せたくないのか」
さすが会長。
僕は頷いて、二人を見つめる。
「怪我の様子くらい見ておいた方がいいだろ」
「えー、恥ずかしいw」
「チッ」
「怒んないでよ」
短気だなぁ。
「篠宮が嫌なら追い出すぞ?」
「んー……」
委員長の目が怖い。
追い出したらどうなるかわかってんだろうな、的な態度だし。
「別にいいけどさ」
「……そうか。
腹だよな、服、捲ってくれるか」
「うん」
渋々ワイシャツを捲る。
うわ、思ってたよりグロかった。
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