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リコール
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『これより全校集会を始めます』
双子の放送委員も、今日は内容が内容だからか、少しテンションが低い。
壇上の右の方から順に、会長、春くん、桜井くん、僕、日月くん。
左の方に橘が立ってる。
委員長が壇上に上がってきて、一礼の後、マイクを掴んだ。
『これを持って、生徒会書記の橘亮をリコールする』
ザワついた講堂に、委員長が咳払いをした。
『理由は仕事放棄と、職権濫用だ。
これに対し、反論のある者は居るか?』
感情もなく、淡々と言葉を紡ぐ委員長に、誰も言葉ひとつ発さない。
静か過ぎる講堂に、なんだかちょっとだけ、嫌な感じがした。
『橘、反論は?』
委員長の問いかけに、橘がふるふると頭を振った。
こんな様子だけ見てれば、大人しそうなのに。
橘が頭を振ったことによって、リコールが決定した。
橘は何も言わず壇上から降りて行った。
その途中、僕の前を通った時、何か……鋭い視線のようなものを感じて、思わず橘を見つめた。
でも、その時にはもう橘は俯いて、足取り重く、壇上から降りて行ってた。
…………今のは……?
胸中で何かが渦巻くような、そんな嫌な予感が増した気がした。
落ち着けようと、短く息を吐き出す。
ふいに桜井くんがコッチ見て、「今さー、なんかぞわってしたんだけど……?」って、口調だけはいつも通りでポツリと呟くように言ってきた。
「僕も……」
桜井くんは「なんだろねー」とか言いながら、ちょっと不安そうにしてる。
らしくないなぁ。
橘を見送った委員長が、会長と入れ替わった。
会長がマイクの電源を確認する。
『引き続き、就任式を始める』
就任式、という言葉にまたザワつく。
会長はザワつきは気にせずに淡々と話してる。
『今回はオレから、書記に篠宮時雨を、庶務に黒澤日月を推薦させてもらった。
異論はあるか?』
異論を聞いてるハズなのに、有無を言わせないような威圧感があって、思わず苦笑する。
そんなとこも、何もかもカッコいいなんて、僕、ほんとにヤバいかもなぁ。
ぼんやりとそんなことを考えていると、ふいにどこからか拍手の音が聞こえた。
それはパラパラと広がって、いつの間にか全員が拍手をしていた。
『賛成、ということでいいな?
それじゃあ、二人から言葉をもらおう』
「…………ん?」
聞いてないよ?
渋りつつもマイクの前に立つ。
日月くんを先に譲って、何言おうかな、って迷う。
『えっと、しょ、庶務になりました、黒澤日月です。
えっと、が、頑張りますっ』
焦るような感じが可愛い。
警備的な感じで後ろの方の扉の所に立ってる秀太郎が悶えてた。
キモw
あ、次僕か。
『改めて、書記になりました、篠宮時雨です。
目標は変わらず、より一層頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします』
軽く頭を下げると、歓声が上がった。
ビックリして肩が跳ねる。
「すごい人気だねー、しーくん」
「何でかわかんないけど……うん」
「え、あれ?
無自覚なんだー?」
「はぁ? 何が?」
「なんで怒ってんのっ?」
「チャラらい、静かにしろ」
「理不尽!」
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