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春 出会い 四月10
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桜視点
彼が叫んだ
それと同時に咳と荒い呼吸音が聞こえた
「ゴホッ ゴホッ ゲホッ ゲホッ」
えっ
叫んだ彼が苦し交じりに咳と荒い呼吸を繰り返していた
「はぁはぁ はぁはぁ ゴホッ けほっ」
嘘だろう?
彼が発作みたいなものを起こしていた
どうすればいいのだろう
おれは焦っている頭をどうにか冷静に戻した
とりあえず落ち着けないと
おれは彼を落ち着けるためにそっと背中をさすった
細い
おれは細すぎる彼の背中に驚いた
でもそんなの驚いてる暇なんてない
彼の背中をさすりながら 彼にささやく
「ゆっくり 深呼吸」
できるだけ優しい声で
「大丈夫? ゆっくり深呼吸
あっ、寝たままだと苦しいか 少し起こすよ」
彼の細い背中をゆっくり起こしてあげる
起こしながらも彼にささやく
「ゆっくり 吸って はいて 吸って はいて そうそう落ち着いて 上手だね」
彼がゆっくり呼吸を繰り返し だんだん落ち着いてきたところで話しかける
「ごめんね おれが聞き返したりしたから」
申し訳なさそうに伏し目がちに彼に言うと
「別に」と不機嫌そうに呟いてきた
そして
「助かった 一応ありがとう」
嬉しかった 今まで ありがとう なんて嬉しいともなんとも思わなかった言葉がこんなにも嬉しいものなのか
おれは嬉しくて 笑いながら言葉を返す
「今回はおれが悪かったから ほんとごめ・・・「悪いんだけど 帰って」
ごめんねと言おうとした言葉が遮られた
えっ・・・帰って?
なんで?
確かにおれが悪かったけど何で帰って?
おれはショックでなにも考えられなくなった
なんで? どうして?
もう少し君のそばにいたいのに
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