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部活3
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せめてもと思って、目を閉じる。
吐息から、木村兄が近くにいるのが感じられた。
目を閉じたことで、耳が良くなった気がする。
そのおかげかどうかは分からないけれど、どこかの部室がどうも騒がしかった。
木村兄は、何も言わない。何もしてこない。でも近くにいるのはわかる。
どのくらいの時間がたっただろうか。沈黙を破ったのは、俺でも、木村兄でもなかった。
俺のいた隣の部室が、なんの前触れもなく、開いた。
目を開いて横を見ると、そこから出てきたのはヨッシーだった。向こうは、この状況が飲み込めないのか目を見開いている。
押さえつけられた俺はどうすることもできず、ただヨッシーを見ることしかできない。
手に持っている財布から、自販機にでも行こうとしたんだろう。
「なに…やってんの?」
かろうじて、ヨッシーが聞いてくる。俺が答えられるわけでもなく。答えたのは木村兄だった。
「…別に。なにもしてない」
そこで、押さえつけられていた手が離される。木村兄は俺から数歩離れて、俺のこぼした缶を立てた。
極度の緊張からか、俺はそこに座り込んでしまった。それこそ何もされていないというのに、どっと疲れが体を襲う。
「黒嵐…大丈夫?」
「ん、大丈夫…だよ。ヨッシー、ジュース買いに行くんでしょ?行っていいよ?」
できればヨッシーは巻き込みたくなかった。ヨッシー自身も分かってくれたようで、俺と木村兄から離れて、自販機に向かって行く。
これでまた、俺と、木村兄の、二人きり。
さっきより少し空いたこの距離が、遠いようで近い。
そんな気がした。
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