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あいだはなし「であい(王様編)」*´ㅅ`)"
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私らと彼は、小さい頃に何度も会ったことがある。
初めに会ったのは10歳の誕生日の時。
彼はとても眠たそうに父親の服をぎゅっと握りしめて離れないようにぴったりと傍に付いていた。
彼の父親は私たちの写真を撮りに来ていた。
雑誌かなにかに載せる写真を撮らせてくれ、と。
彼はその手伝いなのだろうか。
彼は子供とは思えない手さばきでテキパキと機械を配置したりしていた。
私は彼に見入った。
その深く青い瞳に、触れられるとくすぐったそうに震える長い耳に。
愛らしいと思った。
2度目は白の舞踏会で会った。
その日は俺たちのわがままで一般の人を迎え入れた。
その時に綺麗に着飾った彼を見つけた。
髪と目と同じ色のタキシードを着て、真面目そうに背筋を伸ばしている彼は、とても凛々しく感じた。
俺は友達になりたくて近づいて話しかけた。
意外に人懐っこくてすぐに打ち解けた。
その次の日に公園で会う約束をした。
俺達は親友になった。
俺は親友以上になりたかったけれど、性別の壁があってどうしても告白できなかった。
俺は臆病者だ。
3度目は街中の公園のベンチの所に彼がいた。
その時僕は女の子たちをナンパしていたんだ。
仏頂面でスケッチブック片手にどすどすと歩いて公園の隅にあるベンチにどさっと座った。
僕は女の子そっちのけで彼に近づいた。
どうしたの?って聞いたら、お前には関係ないって涙目で言われた。
気になって隣に座って一緒にいたら、いつまでいるつもりなの?って不機嫌そうに言われた。
君が泣くまでだよって言ったらなにそれって笑われた。
あの笑顔はズルいよぉ…。
その後彼は、待ち人がいるからってどこかに行ってしまった。
引き止めた方が良かったのかな。
4度目はたいやき屋さん。
オイラがお金を持ってくるのを忘れてたいやきを買えなかった時。
凄くおろおろしてたみたいだったから、通りかかった彼に話しかけられた。
オイラがお金を持ってくるのを忘れたと言うと、馬鹿だなって笑ってたいやきを買ってくれた。
僕がたいやきに夢中になっていると、彼が突然デートしませんか?って言ってきた。
オイラがオドオドすると、ただの散歩だから意識しなくていいって笑った。
ちょっと恥ずかしかったな…。
あれから僕は彼を見る度にたいやき食べたいって言ってしまう。
だって、また彼と2人でたいやき食べられるんじゃって思ってるから…。
5度目は…。
どんな出会いだったかな。
最悪の出会いだったって事は覚えてる。
だから俺はあれからずっとあいつとは会ってない。
会いたくもない。
会ったら絶対に…。
……。
他の兄弟はあいつと仲良くしてんだろうな。
さよなら初恋の人。
俺は一人で生きていく。
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