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「田倉、榊に返事だ。煮るなり焼くなり好きにしろと。事と次第によっちゃ理事会にかけると脅しとけ。」
部屋を後にする田倉の後ろに若がついていく。恋に浮かれた男はケツも拭かずに立ち去るのかよ、けっ!やってらんねえぜ。
「まあ、お前の気持ちもわかる。だがすべてがいい方向に収まると思わないか?名実ともに桜沢が若頭になれば、物事がもう少しスムーズになる。今までだってやりたい放題だったが、すべて俺のお墨付きなわけだからな。
俺に何かあってもこれで安泰だ。後はお前に任せるから、そのつもりで精進しろ。芳樹から打ち明けられて弁護士に遺言書かせたから断るなんぞ許さん。」
「・・・わかりました、ただ、あと20年は生きてもらわないと困ります。いきなり隠居もやめてくださいよ。
今日のことでわかりました。オヤジにかかれば俺なんか子供ですよ、まったく。」
「そんなことはない。こっちだって色々調べたが、榊がやっている輸出事業に自分の甥を使っていることなぞ出てこなかった。芳樹と小菅の動きがキナ臭いことは把握していたが、そこに大龍の三番目が絡んでいることも芳樹から聞くまでわからなかったしな。
何れにしてもジャッキーは目障りだ、潰すぞ。
人の息子を攫って、あげく香港に売り飛ばすとなれば怒って当然だろ、な?」
何が「な?」だ。微妙にニュアンスが違うだろうと言いたい。
だがそのとおり。榊の企みは実のところ権田をつぶし利権を奪うというものだ。
その手段として若頭を香港に売り、人質代わりに海外に連れて行かれたとなれば、潰すに充分な理由になる。自主的に手に手をとって海を渡りました、なんていう事実は今更誰も必要としていない。
「資金源から叩きます。さんざん歩き回って答えはテーブルの上でした、ってオチぐらい、今の俺はムカついていますからね、徹底的にやってやります。それと菱沼ですが、あれは狸で正解ですよね。」
「菱沼?ああ、ジャッキーの若頭か。」
「ええ、オヤジに世話になったとか、昔はよかった、俺が仕えていたのは先代だった、最近やる気がでない。まあ、そんなふうに散々愚痴ってきましたよ。
『sin』の事を客を通して調べていたようです。商品のひとつが立誠会の持ち物だったことから嗅ぎ付けたようですね。権田を潰してそっくり頂く。それが今回の狙いと見ています。
若と連絡が取れなくなったと電話してきたのが菱沼です。こっちが情報を持っていないか探りをいれたってとこだ。ジャッキーも若の行方は把握していない。たぶん皓月が押さえている、そう考えているはずです。」
「俺は明日会長に話を通す。それと小菅は完全にジャッキーの虜になっちまったようだ。遠慮はいらん、あいつはもう権田に必要ない。」
「除名の回状まわしますか?」
「破門の赤字も考えたが、復縁の可能性がない以上除名のほうがいい。」
「わかりました。
街でアホな捜索活動している者達は適当に戻します。目的はジャッキーに伝わればいいって程度ですからね。早いとこ家に戻してやりますよ。明日から騒がしくなるでしょうから。」
「もうひと踏ん張りだ、頼んだぞ。終わったら若頭就任を周知する。」
身体と頭は疲労困憊だが、久しぶりにスッキリした。
はまるピースはすべて収まるところに収まった。
あとはジャッキーのちゃぶ台を、どうひっくり返してやるかって事だ。
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