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気にしてねーよ
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「あれ……ここどこ!?」
「体育館の入口だよ。………大丈夫?」
ヤバ、意識飛んでた。
ここまでどうやって来たのか覚えてねぇ。
「すみません、何でしたっけ」
「投票用紙にチェックを入れて、
こっちの箱にいれてね」
束ね髪の先輩女子にクスクスと笑われながら
指示を受ける。
「恭くんが最後だよー」
「マジすか。すみません」
ってことは、
椎名はもう体育館の中にいるのか。
本格的な選挙用の仕切りがついた台で
マーク形式の投票用紙に必要項目へ
チェックを入れていく。
投票欄には事前投票で選ばれた
十数人の名前が並んでいた。
時間がなかったけど
もしかしたらと、一覧に素早く目を通す。
…………………あった。
『1-B 椎名春馬』
たぶん、これって椎名の名前だよな。
へー………
下の名前、春馬っていうんだ………
……………………………………
……………………って。
なんか恋する女子みたいな胸キュン行動
してませんか、俺。
――――いやいやいや、
いやいやいやいやいや違うからっ!
別に気になってるとかじゃないし!
あ…あれだよ、あれ!
映画とかアニメのエンドロール見ててさ
あ、もしかしたら
自分の知り合いがいるかもー
なんて思いながら
探しちゃったりするカンジ?
あーいたいたー!
けど、これってホントにあの人?みたいな?
名前があったからってどうとかじゃないし、
知ったところで『ふーん』しか
思えないんだけどさ。
………つか、関係ないし。
仕切り板から顔を出して
近くにいた実行委員の女の子に声をかける。
「これ、男女別になってませんけど、
誰でもいいんですか?」
「キャ―――――――!!!!
私、恭介くんに入れたし!
うん!いいと思うよ!!」
「ありがとうございます」
全然答えになっていなかったけど
営業スマイルでお礼を言うと、
女の子の甲高い悲鳴で鼓膜が揺れた。
はっはっは!
ほーら、みろ。
少し笑えば女子から
黄色い歓声を受けるこの俺が
あんな年下の女みたいな男相手に
翻弄されたりするわけがないだろ?
記入を終え、箱に投入し
体育館へ入ると
どよどよ、ざわざわ、と
談笑していた入口付近の奴らが振り返る。
「あっ!来た!」
「うおっ!周防恭介!ホンモノだ!」
「キャ――――――――っっ!!」
叫び声、俺の名前を呼ぶ声
なぜか拍手と口笛まで吹かれ
大々的な歓迎ムードに
俺は少しだけ怯んだ。
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