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頼りにしてる
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和臣の顔を見て
少しだけ気持ちが落ち着いた俺は
そのまま和臣の肩に顔を埋めた。
「どうした?」
「なんかもう疲れた……」
「熱は……ないみたいだな。大丈夫か?」
額にそっと置かれた和臣の冷たい手で
俺の固まった心が揉みほぐされていく。
この優しさ!この包容力!
まさしく男の中の男!
真柴和臣(ましば かずおみ)
小さい頃から剣道をやっていたからか
物静かだけど、落ち着いていて
凛とした力強さがある。
俺よりも背が高いから
なんとなくお兄ちゃん的存在。
安心するし、何でも話せる
数少ない俺の友人の一人だ。
「ん……さっきはサンキュな。助かった」
「あぁ。坂崎先輩に何か用だったのか?」
「いや……
用がないのが用だったっつーか……」
実は
椎名が坂崎に襲われそうになった時
和臣にメールで
『校内放送で坂崎を呼び出して欲しい』と
根回ししていた。
俺の計算では
ギリギリ間に合う予定だったんだけど
椎名が鈍くさいのと
クソヤローの手が早すぎて
結局あのザマだ。
ただでさえ目をつけられてんのに
これ以上目立つ行動は避けないと。
坂崎のヤツ………
キレたら何を仕掛けてくるかわからない
恐さがあるからな。
「そういえば、さっきから倉敷が捜して…」
和臣の言葉を聞き終える前に
脇腹を思いきり蹴られて
俺の体は吹っ飛んだ。
ゴロゴロと床を転がっていく俺を
みんな止めずに避けていく。
それどころか
楽しそうにキャーキャーとはしゃいでいた。
お~い、みんな~
たぶんこれ殺人未遂だよー
アトラクションじゃないよ?
つか、俺
今日死ぬんじゃね?
「遅い!一体どこで道草食ってたの!!
まさか、他の女といっしょにいたわけじゃ
ないでしょうね」
「倉敷、たぶん恭介、
今ので天に召されたと思う」
「はぁ!?召される前に
懺悔の1つくらいしてから逝きなさいよ!」
美緒は自慢の長い黒髪をなびかせながら
転がっている俺に馬乗りになり
胸ぐらを掴んで俺の頭をシェイクした。
「やめ…………一応……商売道具………」
『商売道具』というフレーズで
やっと美緒から解放された俺は
改めて二人と向き合った。
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