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任務中【side/周防 恭介】
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「おめでとうございます!周防くん!
キングに選ばれた感想を一言!」
ボサボサ頭のクソメガネは
ハウリングさせたマイクを
ズイッと近づけてきた。
クソメガネ…木島孝彦は
俺と同じクラスの奴だが
まともに喋ったことはない。
『未来型生活向上工学部』なんて部活を
1人で立ち上げ
校舎の外れにある部室でヘンテコなメカを
次々作っては爆発音を轟かせている。
今回の投票集計システムはコイツが開発した
『集計くん3号』とやらを
使用することになり
票の微調整……
いわゆる不正の協力をしてもらうため
事務所が一年間の研究費援助で
釣ったらしいが…………
本当に大丈夫なのか?
――――とりあえず感想、なんだっけな。
「えー…
『このような伝統ある行事で、
キングという大役に選んでいただき
ありがとうございます。
これから発表される
クイーンの方と力を合わせ、
期待に添えるよう
精一杯頑張らせていただきます』」
尾野っちに渡された台本通りに台詞を言うと
歓声と拍手が巻き起こった。
「素晴らしいコメントですね!
で、では!周防くんに
いくつか質問をしていきましょう!」
質問?
そんなの台本にあったっけ。
「好きな女性のタイプは?」
さっきと同じように
マイクを差し出された俺は
怪訝に思いながらも質問に答えた。
「……目力が強くて
筋が通ってる方がいいですね」
「なるほど!
外見よりも中身重視ってわけですね!
では、好きな食べ物は?」
「……………カレーライス?」
「なるほどなるほど!
では逆に嫌いな食べ物は?」
「……………………………ナス、…………………」
「あはは、奇遇ですね!
実は私も苦手なんですよー…ナス。
あの漬物にしたときのキュッて感じが……
ヒャー!想像しただけで鳥肌が!」
体育館の中がざわつき始めた。
「えー、では次の質問に……」
「おい」
俺は堪らず
マイクが拾えないくらい低い声で
静かに怒鳴った。
「いい加減にしろ、さっさと進めろよ」
「あはは……」
木島は冷や汗をダラダラと流し
分厚い眼鏡の下の黒目を
フワフワと動かしている。
「まさかお前、
集計できなかったわけじゃねぇだろうな」
「ままままさか!
集計はちゃんとできてますよ!」
集計『は』
つーことは
コイツ……
他になんかやらかしやがったな。
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