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君の答えは
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「ルールだか何だか知らないけど、
クイーンって女性のことでしょ?
だったら、女子で一番票を集めた私が
クイーンなんじゃないの?」
「はぁ……それはごもっともなんですが…」
木島がゴニョゴニョと口ごもっていると
「僕もその意見に賛成だな」
舞台袖で成り行きを見ていた坂崎が
俺たちがいる場所まで歩いてくる。
「生徒会としては罪無き男子生徒を
クイーンなどと呼んで辱しめる行為は
容認できない」
「は?どの口が言ってんだ?」
俺の口が勝手に動いた。
「僕は生徒会長だ。意見する権利がある」
「はは、誰のための意見すか?
職権濫用ですか?
いいですねー、
俺も次の生徒会長に立候補しよっかな」
………俺は
自ら火に飛び込むような真似はしない。
喧嘩を売られても感情的にはならないし、
適当にやり過ごす方法も心得ている。
面倒くさいことになると
分かっている相手なら尚更だ。
だけど、今日の俺は変だった。
コイツに対して
怒りムカつきしか湧いてこない。
「………周防くんは倉敷さんのほうが
いいと思ってるんじゃないか?」
「仮にそうだとしても
アンタには関係ない」
「恭介………どうしたの!?」
坂崎を睨み付ける俺の様子に驚いた美緒が
不安そうに俺の腕に手を添えた。
俺はそれを優しく剥がすと、
なんでもない、と美緒をなだめた。
坂崎は俺が引かないと分かったのか
標的を変える。
「椎名くんも、嫌なら断っていいんだよ?」
コイツ………っ!
人の良識を利用しやがって。
んなもん聞くなよ!
男が女みたいな扱いされて
本人は嫌に決まってんだろ!?
「僕は」
椎名の控え目に囁くような声が聞こえて
血の気が引いた。
――――やめろ。
『嫌に決まってるじゃないですか』
聞きたくない。
だからこうして
何かを求めるのは嫌なんだ。
心が粉々に砕け風に舞うような絶望感が
また自分を襲うのかと思うと
怖くて手が震えた。
――――――――――――――――
――――――――――――
「周防先輩が相手なら
僕は別に嫌じゃありません」
……………
……………………………
………………………………今、何て?
屋上で聞いたような
キッパリはっきりした椎名の返答に
その場にいた全員が目を丸くした。
「そ、そうか。優しいんだね、椎名くんは」
…………………………………
………………やば。
なんだよ今の…………
泣きそうなくらい
嬉しいんですけど。
つか、もしかして
こ、告白!?
いや、まさか!
んなわけないだろ!
くそっ!
心臓がバクバクしっぱなしじゃねぇか!
俺を殺す気か!?
「ちょ、ちょっと待って下さい!
ちゃんと説明しますから!」
張りつめた空気を切り裂くように
そう言い放ったのは木島だった。
ステージ中央から
マイクで全員に話を始める。
「皆さまも
予想外の結果に驚いていると思いますが、
ルールに基づいて今回
このように発表させていただきました」
『今年は3人でミッションですかー?』
生徒の群れから質問が飛ぶ。
「いえ、そうではありません。
あくまでもクイーンは1人です」
木島はチラッと俺のほうを見た。
…………なんだ?
「今から、キングである周防くんに
…………クイーンを選んで頂きます!」
一瞬の沈黙の後、
『ワァッ』と、大歓声が沸き起こる中で
俺はただ
茫然と立ち尽くした。
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