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いろいろ限界【side/周防 恭介】
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プレハブ小屋のドアに
何回か蹴りを入れたら
ドン!!と勢いよく開いた。
逃げる途中
椎名の足があまりにも遅くて
肩に担いだせいか
体力消費量が半端ない。
俺は中に入るやいなや
ドアを背中で閉めながら
ズルズルと座り込んだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
マジでしんど……
給水塔で
のんびり寝ていた頃が
懐かしく感じる
はぁ………迂闊だった。
椎名といっしょにいたいという
感情だけに囚われていて
ミッションがどんな内容なのかまで
頭が回らなかった。
俺と美緒が『商品』である以上
ファンやマスコミを意識した
ミッションになることは
普段の俺なら
少し考えればわかったはずなのに……。
「……ゴホッ……はぁ、はぁ……」
うぅ……
吐きそう……
近年稀に見ない
ハードスケジュール
肉体的にもそうだが
精神的なダメージが一番デカイ。
目を閉じて息を整えていると
「先輩……大丈夫、ですか……?」
まぶたの向こう側で
椎名が俺の顔を覗いた。
「すみません……僕のせいで……」
少しだけ目を開いて
しょんぼりとしている椎名の頭を
クシャクシャと撫でる。
「お前の……せいじゃ………ないから、
心配、……すんな」
切れ切れにそういうと
椎名は顔を真っ赤にして
きゅっと口を一文字に閉じた。
―――……あぁ、
泣きそうな顔しちゃって……
可愛いー……
この仕草も
繋いでいる手も
唇や瞳だって
もう誰にも
一瞬たりとも譲る気はないけど
もしかしたら椎名が
目の前で奪われてしまうかもしれない
その光景を想像しただけで
気が狂いそうになった。
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