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心の距離
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「じゃあ鍵はどこに……」
「校内の安全な場所にあるか、
関係者の誰かが保管しているか
あるいは………」
「学校以外の場所にあるか、………ですね」
僕の予想に満足した様子で
先輩がニッと不敵に笑う
「ま、そういうことだ
もちろん、本物の鍵がちゃんと用意されてる
可能性が消えたわけじゃねーけど
いちいち気にしたって
仕方ないだろ?」
「もしも、誰かが見つけたら?」
「その時は…こう……『えいっ』つって」
先輩は首の後ろを手刀で打って
気絶する真似をした
「ふふっ、もしくは『やぁっ』って?」
僕は竹串で空中を刺して
死んだふりをした
「二人仲良く牢獄行きですね」
周防先輩はお腹を抱えて
ケラケラと楽しそうに笑った
いつも難しそうに何かを考えていて
大人びた振る舞いと決断をする彼が
こうして高校生らしく
少年のように無邪気に笑う姿に
胸がキュウッと締め付けられた
こんな短い間に
キスとか………いろいろしたけど
今が一番
彼を身近に感じる
なんとなく、
先輩との距離が縮まった気がして
嬉しかった
―――――けれど
先輩はしばらく下を向き
声を出して笑っていたが
唐突に
笑うのを止めて
「椎名」
真剣な声色で
僕の名前を呼んだ
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