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心に巣食う光と闇
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俺は音を立てないように
容赦なく深く突き進んでいく
「せんぱ……っ……ダメ………」
そう言いつつも
自分の舌を俺に絡ませ欲しているのを
たぶん本人は知らないのだろう
『してる……してるっぽい!?』
『いや、わかんねー!』
背後で話し声が聞こえたのを合図に
俺は椎名を解放し
何事もなかったかのように離れると
椎名は何とか平常を装い
さっきと同じように
俺の手を引きながら歩き始めたけれど
肩は上下に動き
繋いだ手が燃えるように熱かった
「……そんなに息あがってたら
本当にしてたってバレるんじゃね?」
後ろから耳元で追い討ちをかけると
椎名が振り返り
真っ赤な顔でキッと睨んだ
その反応が面白くて
いとおしくて
俺はまた
声を出して笑う
この繋がれた手や狂おしいほどのキスは
俺にとって『あの日の肩車』だ
明日もあさっても
この幸せが続くのかな、と考えただけで
心の隅々まで満たされていく
感覚を思い出す
―――だからこそ
椎名と幸せになれるビジョンが
まったく浮かばない
またあの時のように
全てが一瞬で無くなってしまうのか、と
考えただけで
怖くて恐ろしくて
この手を離したくなってしまう
やっぱり……
お前を求めたらいけなかったのだろうか
だけど
お前が欲しくて仕方がない
自分の感情をコントロールできなくて
せめぎあう葛藤を
どう処理していいのかわからないまま
迷いを払拭するように
椎名の手を強く握った
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