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二人の願い
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「倉敷、俺は……」
「逃げるのは無し
いい?受けて立たないと
目からハバネロ流し込むから」
美緒は和臣の顔を
見据えた。
「いつまでも『仲良し3人組』じゃ
いられないのよ?
前に進みたいなら、
恭介の頭に竹刀でも金棒でもいいから
ぶちこんでやりなさいよ
恭介は………
そこまでしても気づかないくらい
………自分のことには鈍感なんだから」
和臣は恭介に話すつもりだったことを
美緒に伝えるかどうか迷ったが
今はそのタイミングではないことを悟り
口をつぐんだ。
いずれ美緒にも
話さなければならない、とは
わかっているものの
まだその感情は
不透明で不安定で
自分自身も
どう進めばいいのか
わからなかった。
恭介に話すことで
心の霧を晴らしたい
けれど、
自分のせいで美緒を傷つけたり
苦しませたりするなんてことは
心優しく誠実な和臣には
できなかった。
それは美緒も同じで
和臣の気持ちを知ってるからこそ
フェアでなければならないという
真っ直ぐで揺るぎない正義感が
彼女の心を駆り立てていた。
「………いい女だな、お前は」
「おだてても手加減しないわよ」
二人の間には
いつも恭介がいた
誰に対しても平等に接する
彼の両脇を独占してきた二人は
いつも
彼の『特別』になりたいと思っていた。
泥まみれになりながら
遊んでいた頃は
まさか、彼を取り合うことになるなんて
夢にも思わなかっただろう
性別も性格も、
恭介に対する感情も違う二人の
唯一の共通項
『恭介が誰よりも
幸せになって欲しい』
2つの想いから紡がれる願いは
ただ1つだった。
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