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幸せの賞味期限
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「………っ!!」
驚いた周防先輩は
フォークを持った手を
引っ込めようとしたけれど
逃がさないように
すかさず先輩の手を掴み
上目遣いで
今度こそタルトを口に含んだ
唇に付いたカスタードクリームを
親指で拭い
それをまた舐める
「美味しい………」
呟いてから
先輩を熱っぽく見つめた
先輩は顔を真っ赤にして
フォークを持ったまま
手で顔の半分を覆い隠す
「お前………それ反則…」
僕は周防先輩の言葉を無視して
左手を伸ばし
先輩の唇に付いていた
少量のクリームを人指し指で
丁寧に拭った
「……っ!何すんだ………よ……」
「はい、先輩」
「え?」
「あーん………」
自分の指を舐めるように迫ると
先輩の顔がさらに赤くなった
「や、やめろ!!エロバカ!」
「先輩から始めたんじゃないですか」
「わかった!俺が悪かったって!
頼むから黙って食えっ」
周防先輩はタルトの皿を僕に突き返すと
赤く染めた顔を隠すように
あさっての方向を見た
やった………
やったぞ!
僕は勝利のガッツポーズを
心の中で決めると
戻ってきたフルーツタルトを頬張った
「美味しい!」
「くそ……っ!エロ椎名め……
……あとで覚えとけよ……っ!」
先輩は真っ赤な顔のまま
僕に捨て台詞を吐いた
僕はそれに
舌を出して応える
いつも余裕綽々で
僕を翻弄してばかりの彼が
まるで僕のように照れて焦っている姿が
とても新鮮で可愛くて
またイタズラしたくなる
先輩も
こんな気持ちだったのかな……
そうだったら
嬉しいのに………
僕はまた一口
タルトを食べたけれど
先輩に食べさせてもらったほうが
何倍も美味しく感じた
すごく
楽しくて幸せな時間………
………になるはずだった
………あのバカ芸人コンビが
現れるまでは
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