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「二人とも、用がないならあっち行けよ」
「えー?いーだろ別にぃ」
「話聞かせろよー」
両サイドから肩を抱かれ
身動きが取れなくなった僕は
ため息をついた
文化祭で浮かれまくった二人に
何を言っても無駄だ
無駄どころか
火にガソリンをぶちまける行為に等しい
「つか俺がキングだったら
お前、今ごろ俺に襲われてたかもよ?」
「鈴木、椎名とやりてぇのは
お前だけじゃなーいっ!」
山下が僕の頭を飛び越えて
鈴木の頭を叩いた
あぁ神様……
先程の暴言は取り消します……
どうかこの二人を
異次元の彼方へ葬って下さい………
「先輩もそう思うでしょ?」
はぁ!?
なに次から次へと
ぶっこんでくれてんだよ!
もうお願いだからやめて……
こんな下品な会話に巻き込んで
先輩に申し訳なさすぎて
顔も見れないじゃないか……
お前らのせいで
今の関係が壊れたら
ヘソから内臓
えぐり出してやるっ!
―――黙って話を聞いていた
周防先輩はふっと笑い
「確かに、そうかもしれないな」
そう言って紅茶に口をつけた
「おぉー!同志っすね、先輩!」
「だからって
椎名に手は出さないで下さいよー
コイツは俺たちの遊び道具ですから」
山下と鈴木がケラケラと笑うと
つられたように周防先輩も
ケラケラと笑った
…………最悪だ
今まで実害がなかったから
二人に何を言われても
相手にしてこなかったけど
もっと早く対処しとけばよかった
『やりたい』とか
『遊び道具』とか言われて
先輩に軽蔑されたかもしれない
嫌われたかもしれない
そう考えただけで怖くて
自分が情けなくて
すごく恥ずかしくて
この場から逃げ出したかった
――――先輩は笑い疲れたのか
急に黙ってうつ向いた
「あれ、周防センパーイ?」
山下が先輩の顔を覗くと
「………ひっ………」
小さく悲鳴を上げた
山下の頭がふるふると震えて
徐々に仰け反っていく
「………山下?」
僕は目の前に広がる光景に
目を疑った
――――周防先輩が
山下の首を右手で掴み
その細長い指を
肉に食い込ませていた
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