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狂気乱舞
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山下のうめき声と
メキメキと骨が軋む生々しい音が
耳に届く
「ちょ………せんぱ」
何をしているのか、と
先輩の顔を見た途端
全身の血の気が引いた
「………1兆歩譲って
『椎名とやりてぇ』っつうのは
見逃してやるよ……
好きな奴と繋がりたい気持ちは
………俺も同じだからな」
先輩の目は
大人びていて
何かを悟るような目でも
イタズラ少年のような
何かを企んでいる目でもなく
「人の連れ捕まえて
『遊び道具』とかほざきやがって……
マジでブチ殺すぞ……お前ら」
その瞳を見たものを
魂まで灰にしてしまうような
真っ黒な炎を纏い
怒りに溢れた目だった
先輩はもがき苦しんでいる山下を
弄ぶように
さらに手に力を込める
「……ぐぅ………っ、苦し……」
「へー、意外とタフだな
まだ呻く余裕あるじゃねーか」
「先輩!離してください!
死んじゃいますっ!」
周防先輩の
瞳の呪縛から逃れた僕は
山下から先輩を引き剥がそうと
右腕を引っ張った
けれど先輩の体は
まるで鉄柱のようにピクリともしない
「あはは死ねば?
そしたら楽になるんじゃね?」
首に先輩の指がどんどん埋まり
山下の顔が赤茶色に変わっていく
「そろそろ苦しさが抜けて
気持ち良くなってくる頃だよなぁ……
勃起しながらあの世に逝けるなんて
ラッキーだなお前………」
細めた目で山下を愛撫する
恐ろしくも妖艶な周防先輩に
僕と鈴木は
呆然と立ち尽くした
「安心しろよ………
次はお前も逝かせてやるからさ」
先輩の狂気に満ちた鋭い眼光が
鈴木を貫く
「わ、わかりました!謝ります!
…………謝りますから!
離してやってください!」
鈴木が泣きそうな顔で懇願する
「先輩!」
僕も腕にしがみついたまま
先輩に離すよう促すと
少しの間の後で
周防先輩はパッと手を開き
山下はその場に崩れた
「…………なぁんてな
冗談だよ、じょーだん」
何事もなかったかのように
ケラケラと笑う
猟奇的な先輩の笑顔に
その場にいた全員が
凍りつく
―――けれど僕は
不謹慎にも
先輩の狂気な微笑みに
ゾクゾクと
快悦な欲望が沸き起こるのを
全身に感じていた
ゴホゴホ咳き込む山下を抱え
恐怖に戦く鈴木に
先輩はしゃがんで顔を近づけて
鈴木の頭に
ぽんっと手を置いた
鈴木の体がビクッと跳ねる
「次、俺の逆鱗に触れたら
お前らを塵ひとつ残さず
仲良くこの世から抹消してやるよ
……これテストに出るから
頭のてっぺんから足の爪の先まで
叩き込んどけよー」
ニコッと笑う先輩に対して
鈴木は必死で頷いた
「…………行くぞ椎名」
「は、はい………」
チラッと山下と鈴木を見ると
いつもふざけ合っている二人の姿はなく
ガタガタと恐怖で体を震わせていた
声をかけた方が
良かったのかもしれないけど
何も言葉が見つからなかった
僕らは教室に来たときと同じように
鎖に繋がれた手を取り合って
教室を後にした
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