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どっちがマシ?【side/周防 恭介】
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椎名の体を自分のハンドタオルで
丁寧に拭くと
身なりを整え、頭をポンポンと撫でた
「大丈夫か?」
「はい」
気丈に振る舞っているのか
今はまだ症状が出ていないのか
椎名は優しく微笑んでから
同じことを聞いてきた
「………先輩は……大丈夫ですか?」
「………俺の心配なんか
しなくていいから」
「無理ですよ、そんなこと」
抱いてる時とは
まるで別人のような凛々しさに
耐えられず目を伏せると
視線の先に
第2ボタンまで開いた
シャツの隙間から
俺の愛した痕跡が見えた
手を伸ばして
ボタンをひとつかける
「しばらくは
ここまで閉めておけよ」
俺の言葉の意味を理解した椎名の顔が
一気に真っ赤になった
………椎名は俺に犯されても
壊れもしないし
汚れもしない
それどころか
よりいっそう光輝く力強い瞳に
眩しすぎて直視できない
やっぱ俺なんかが
手を出していい人じゃなかったんだ
来た道を戻るには
もう遅すぎて
全てが終わった後
隣にいない人を想って
声をたてずに
俺は泣くだろう
初めから愛を知らずに生きるのと
愛を知って失うのと
いったい
どちらがマシなんだろうか
同じくらいの地獄なら
俺は愛を知ってしまった自分を
少しだけ後悔して
無限に憎むしかない
――――俺は椎名の隣に転がっていた
工具を手に取り
おもむろに鎖に刃をひっかけた
「ちょ、ちょっと何してるんですか!」
椎名が俺の手を制し
驚愕の表情で俺の顔を覗く
「切るんだよ」
「どうしてですかっ!だって」
「初めから
そうするつもりだったし」
椎名が息を飲む気配を感じた
「………僕を………騙したんですか」
「はぁ?人聞き悪いな
俺とヤったからって
誰も切らないなんて言ってないだろ?」
「この……詐欺師!鬼!悪魔!
……………バカ!アホ!
……………………エロ魔神!」
俺は可笑しくて
つい、喉の奥で笑ってしまった
思い付く限りの悪態ついて
アレだぜ?
可愛すぎるだろ
やっぱり離したくないな、なんて
気持ちが揺さぶられてしまう
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