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闘うべきもの
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―――自分以外の誰かが
この可愛い仕草や表情を独占するのか
そう考えただけで
おぞましいほどの嫉妬が
俺の身体中を焼き尽くす
付き合ってるわけじゃないのに
この有り様
いろいろ無理すぎる
自分のものにしたら
一瞬で粉々にしちゃうってマジで
―――これ以上の会話は危険だ
なけなしの決心が鈍ってしまう
俺はまた真顔に戻り
鎖を切ることだけに集中しようとした
「理由は………なんですか?」
――――うるせーな……
お前を傷つけたくないんだよ
俺はボルトを回し
刃の噛み具合を調節する
「僕が……嫌いだからですか?」
――――なわけねぇだろ
数分前の出来事を
もう忘れてんのかコイツ……
単純な構造だと思っていた工具が
かなり複雑な作りになっていたため
調整に手間取って
すごくイライラしてきた
「……………」
――――何も声がしなくなった
心配になって
視線を椎名に向けると
ビクッと俺の体が跳ねた
―――般若とか鬼とか
そんなレベルじゃない
椎名の顔が
見たこともないくらいに
怒りで満ちていた
「椎……名?」
仕返しと言わんばかりに沈黙を纏い
椎名は尚も俺を睨みつけた
「し、椎名さーん?」
汗をダラダラと流しながら
もう一度、椎名を呼んだが
やっぱり無反応のままだ
…………おーい、
擬音が具現化してるよー?
後ろに
『ゴゴゴゴゴ』とか
『ドドドドド』とか見えちゃってるよ?
何だよ
『スイーツパラダイス』なんて名前の
スタンドでも出すつもりか!?
「先輩………」
「は、はい」
突然話しかけられ
手に持っていた工具を落としかけた
「先輩って……人を怒らすのが
趣味なんですか?」
「はは、は……いや趣味っつーか……」
―――――――――――
―――――――
えぇぇ――――――っ!!
なにこれwhy!
少し前までの
すげー切ない雰囲気はwhere!?
やば…………
早く……
早く切らないと………
俺…………
椎名に殺されるっ!
俺は慌てて椎名から視線を剥がして
一心不乱に工具と闘った
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