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唯一無二の男【side/椎名 春馬】
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僕はけっこう
何に対しても無関心である
または、装うことが多い
っていうのは語弊があるけれど
ほぼ、意味はそれに近い
例えば僕がパンツ一丁で
パーティー用の鼻つきメガネをかけながら
無表情で街を闊歩する
道ですれ違った人が
僕のことを見て
ヒソヒソと後でなにか言われても
関係ないから
全然平気
『変態!』とか
『頭おかしいんじゃないの?』
なんて言葉が聞こえてきても
怒りも湧かないし
恥ずかしさもない
自分の人生に関わりがないと判断すれば
それはもう興味の対象外なのだ
興味がない人に
自分がどう思われても
何も感じないのは当然だし
興味が湧いてくるような人に
出会うこともあまりない
たがら結局は
無関心になってしまう
―――周防恭介という男は
僕にとって
全てにおいて規格外の男なのだ
人生で初めて
僕が好きになった人であり
手を繋いで
恥ずかしさが溢れたり
笑う顔を見て
きゅっと胸が締め付けられたり
キスをして欲しいと
願ったり
もっと先輩と
エッチなことがしたいと思ったり
………いろんな感情を
僕に与えてくれる唯一無二の人
そして
そんな僕を今
極限の怒りで震わせることができるのは
地球上で彼しかいない
「ちょちょちょ、待て待て!
お…………落ち着け!
落ち着いて話をしよう!な?」
僕は手錠の鎖を踏みつけて
先輩から工具を奪った
床と僕に挟まれた鎖を引っ張りながら
先輩は身を引いていく
「俺みたいな奴を木っ端微塵にしても
椎名ちゃんが損するだけだよー?」
なんなの、この人
さんざん人の心と体を
かき乱しといて
好きって気持ちを
認識させといて
ヤり逃げですか?
ポイ捨てですか?
それとも
心のピンポンダッシュですか?
「今どき暴力なんて流行らないよ?
ヤクザもパソコン叩く時代だよー?
………平和的な解決!
『NO WAR! NO VIOLENCE!』」
「……………………………」
「……………………………」
冷徹な眼差しで先輩を睨むと
先輩は固まったままゴクリと唾を飲み込んだ
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