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俺は息を深く吐いてから
鼻をすすると
椎名が小さく笑った
「笑うな、シバくぞ」
「すみません……可愛かったので」
何でコイツは
こんなにも俺を
幸せな気分にさせてくれるんだろう
俺は顔をあげて
椎名の黒色の瞳を見つめた
相変わらず椎名の瞳は
キラキラしていて
やっぱり俺は
目を細めてしまう
「椎名………………」
「………………はい」
「………バカ……
俺なんかに惚れてどーすんだよ………」
「そうですね……どうしましょうか」
椎名は困った風なセリフを言いながら
ぜんぜん余裕、みたいなオーラを放つ
立場が逆転したみたいで
スゴくムカついた
―――いろんな奴が
いろんな目的で俺に近づき
それを掻い潜るために
身につけた殆どの技は
コイツには
まるっきり通用しない
逃げようとした俺の前に
清ました顔で立ちはだかり
愛の言葉を弾にして
マシンガンで俺を穴だらけにした挙げ句
骨まで抜き取っていきやがった
―――完全に
俺の敗けだ…………
「椎名」
椎名は『何?』と言う顔で
俺を見る
俺は深呼吸をしてから
こじ開けられた心の扉から
気持ちを引きずり出した
「………俺も
お前のこと……好きだよ」
「……………っ!」
そんなことを言われると
思っていなかったのか
椎名は大きな瞳を
さらに大きく開いて
口をきゅっと結ぶと
黒真珠のようなキレイな目から
涙をポロポロとこぼした
俺の告白で涙するその姿に
胸が苦しいくらいに締め付けられる
人差し指でそっと拭うと
椎名も俺の頬に留まっていた涙を
か細い指で優しく拭いてくれた
――――椎名春馬
突然
俺の目の前に現れて
俺の全てを埋め尽くし
絶望と愛情を与えてくれた
恐ろしくも可愛い
俺の大事な人…………
愛を知って
地獄を知るなら
俺は
地獄ごと
お前を愛すよ
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