アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
どーすればいーんだよ!【side/周防 恭介】
-
「先輩、1つ確認なんですが」
技術室を出て
手を繋ぎながらあてもなく歩いていると
ずっと黙っていた椎名が話しかけてきた
「んー…?」
『俺、べつに余裕だけど何?』
みたいな感じで返事をしたけれど
俺はすでにさっきから
残りHP『1』の瀕死状態だった
生まれて初めて人前で泣いて
生まれて初めて気持ち晒け出して
心も体も椎名でいっぱい
パンク寸前だ
チラッと椎名の方を見たけど
細い体が
影分身してるみたいに見えるくらい
猛スピードで前に向き直った
――――告白する前より
椎名が100倍可愛くて
大好きすぎて………
前みたいに長い時間
観察できない
互いの指を絡ませて繋がれた手から
気持ちが溢れてきそうで
胸がキュウってなる
はぁ………やば………
呼吸困難……………
抱いてる時よりドキドキす………
「僕たちって
付き合うんですか?」
………………る
………………………………
…………は?
コイツ、今なんて?
「………どういう意味?」
「そのまんまの意味ですが」
は?え?
ちょ、ちょっと待って
普通さ、あんな感じで告白し合ったら
それは『お付き合いする』って
ことになりません?
「普通ならそうかもしれませんが
『俺、付き合うなんて言ってねぇし』
…………なんて言われたらイヤですから」
………………………
か………………
か…………………………
…………………可愛くねえぇぇぇぇっ!!!
なんだ!
その、人を疑うような半目はっ!!
さっきまでの
可愛らしいクリっとした黒い瞳は
何処に転がって行ったんだ!?
「はぁ!?んなこと言うわけねぇだろ!」
「どうだか……」
「信用されてないってわけ、俺」
「自分が信用を失うようなことを
したからじゃないですか」
「……は、面倒くせぇな
それなら全部
なかったことにすれば?」
「はぁ?何それ………
僕のことを好きっていうのも
嘘だったってこと!?」
「だぁーかぁーらぁー!
お前が俺を疑うからだろ!」
たぶん、
このあと和臣が来なければ
また違う教室に連れ込んで
俺がどのくらい椎名が好きなのかを
その憎たらしい体に叩き込んでいたと思う
気持ちを伝えたからって
すべてが伝わるわけじゃないってことを
俺はまた
こうして椎名から教わった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 469