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先輩の過去
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先輩は僕の上から
ゆっくり体を起こすと
僕を背中に隠した
「放送……聞いてなかったのかよ」
「聞いたよ
随分と陳腐で幼稚な内容の、ね」
「だったら、俺たちに近づくな
今…俺、すげ―――…機嫌が悪いから
何をするかわかんねぇよ?」
「俺たち………ね」
坂崎先輩は
僕たちと一定の距離を保ちながら
ツカツカと周り歩く
ピタッと止まり
先輩を笑顔で直視した
「君は昔から人のモノを奪うのが
本当に得意のようだ」
「………………」
先輩はグッと僕の手を握った
「椎名くん、一つ忠告しておこう
この男に近づいたら……君が危ない」
「どういう……意味ですか」
僕はそう言いながら
恭先輩に全神経を傾けていた
恭先輩…………
僕の教室で
山下を絞め上げたときのような
背中から漂う
真っ黒い影が
先輩を飲み込もうとしていた
「彼が好きになった人間はね、
…………必ず、
死ぬんだよ」
―――――――――――――
言っている意味が
わからなかった
――――――どういうこと?
ていうか……
この人………先輩の、なんなの?
先輩は僕を握った手に
よりいっそう
力を込めた
「僕の叔父は、コイツに殺されたんだ」
「え?」
「彼が殺したのは叔父だけじゃない
叔母も………彼のせいで命を落とした
その前は、
自分の母親……だったかな?」
「…………………」
恭先輩…………
何も言わない
いつも相手の言葉を皮肉って
攻撃する先輩が
坂崎先輩に
言われっぱなしなんて………
それは
つまり
坂崎先輩が
言っていることが
本当に……………
「悪いことは言わない
今すぐに彼から離れるんだ
生徒会長の権限で
君たちを繋ぐその手錠を
…………切ってあげるよ」
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